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大連雑学事典

2008年3月までは、大連在住の総経理が現地レポート、その後は日本からの回顧録や中国語トピックス。 過去の記事は右下太字の「大連雑学事典ハンドブック」を参照してください。

カントリーリスク(2)

言葉によるリスク。

言葉が通じない空間にポッ!と一人で放り出されたらどうして良いか分からない。
そういうリスクも確実にある。

アジア系の顔で、外見的には、日本人と変わらない人たちに囲まれ、似たような漢字が使われる生活環境だが、考え方も文化も全く違うのが中国だ。
中国に来て、否応なしに感じるのは、言葉が違うことだ。
当たり前だけど、中国語だから、日本語は全く通じない。

サラリーマンで派遣されてくる日本人の場合は、通訳がいる外国人専用居住空間に住むのが一般的だ。たとえば、ホテルのアパートメントとか、開発区ならアカシア別荘とか、市内なら付家庄国際村など。
通訳が付いているから基本的な生活については面倒を見てくれるから問題ないし、会社には通訳がいるから問題ないだろう、と思う。

何事も起こらない平和なときなら、全く問題ないが、問題が露呈するのは、トラブルに遭遇したときだ。

トラブルにあったときに、助けを求めようにも、言葉が通じなければ、どうしようもない。
援助を求めなければ、何もしてくれないのは中国では当たり前だ。暴漢に背中を刺された女性が、言葉が通じないために周囲の中国人に助けを求められず、血を流しながら知人の家まで辿り着き、病院に運んでもらったという事件があった。

病気や怪我をして医師の診察を受けるときの言葉の障害も大きい。
お腹が痛いにしても、いつから痛いのか、ずっと痛いのか、時々痛むのか、ずし~んと痛いのか、キリキリと刺すように痛いのか、お腹の中が痛いのか、表面が痛いのか、ひりひりするのか、などなど微妙な表現ができない。 逆に歯医者から何か問われたときに、訳も分からず「OK」なんて言っていると、いきなり歯を抜かれたりすることがあるかもしれない。

先日、帰任後健康診断というのを受けた。
胃のレントゲン写真を撮るときに
「バリウムを二口だけ飲んで、残りは手に持って、ゲップを我慢して」
「さぁ、今、一気に全部飲んで」
「左にゆっくり2回廻って、そこで止める」
「大きく息を吸って、そのまま右にちょっと傾けて、息を吐いて止める」
「ゲップを出して良いですよ」

こんなことを、指示されて、胃のレントゲン撮影をしたが、中国語でやられたら、微妙な表現が理解できない。最初にバリウムを全部飲んで怒られているに違いない。

一般生活では、普通に映画を見ようと思ってもまず無理だ。映画は、中国語に吹きかえられていることが多い。ハリウッドの人気映画などは日本と然程変わらない時期に上映されるが、日本語字幕で楽しむことはできない。(後日海賊版DVDが出るまで待つことになる)
これ自体は、リスクとは言えないが、ストレスの原因となり、二次的な障害を起こすかもしれない。

会社には通訳がいるから大丈夫と思っていたら、たった一人の通訳が辞めてしまったとしたらどうする? 大連事情に慣れていれば、日本語が通じる人材紹介会社に依頼して新しい通訳を採用することもできるが、状況がつかめないとどうして良いか分からない。

外見的には、日本人も中国人もはっきりとは分からないから、街を歩いているときに、道を聞かれたり、何か尋ねられたりすることがある。道を聞かれたことが分かれば、「我不知道(分かりません)」と答えればトラブルにはならないが、そうじゃない場合には、どう対応したらよいのか分からない。オレの経験では、物売りがいたし、物乞いもいた。笑顔で近づいて来て何かを言われたが、全く分からないこともあった。変な対応をしてトラブルを発生することにもなりかねない。言葉が通じない国で生活することは、それ自体リスクを含んでいることを理解しておかなければならない。

例え、親日的で、日本語が通じやすい大連と言えども、言葉が通じないリスクがある。 幸い、オレの6年間では、言葉が通じない不便さはたくさんあったが、言葉由来で危険な目にあったことはないのはラッキーだった。

コメント

言葉が通じない

今回は思わず一人で「うん・うん」とうなずいてしまった。
私は昨年の6月から今年の3月までの9ヶ月間で合計29日間中国に滞在した。
つまり9ヶ月間の内、1ヶ月間は中国に滞在している勘定になりますが、大連周水子空港に到着したとたん、周りは全て中国語。
特に、家内の家族の中に入っている時は、家内も中国語(当然ですが)。
だから、誰が何を言っているかは全く分からない。時々、家族の私への質問の時に家内が通訳してくれるぐらいで、あとはチンプンカンプン。
時々、家族間の話しの中に『リーベン』と言う言葉が聞こえた時は、
「アッ、私の事を言っているのだな」と思い、その人の顔を見て、
ニコニコと笑顔をしている事しか出来ません。
後は精々帰国の際に大連周水子空港で出発ゲートで飛行機を待っている時にチラホラ聞こえてくる日本語。
日本の空港に到着した時に、聞こえてくる言葉が全て日本語に
なったら、本当にホッとしますね。
それから、帰宅するまで車を運転していると、右ハンドルに
違和感を感じて、元に戻るまでに2・3日かかりますね(笑)

  • 2008/04/18(金) 18:49:02 |
  • URL |
  • こうちゃん #-
  • [ 編集]

中国語が通じる条件

>こうちゃん、久しぶりです。
もうすぐ大連での生活が始まりますね。
いろいろなカントリーリスクを書き並べていますが、リスクをきちんと把握しておけば回避策も思いつくし、楽しく過ごすことができます。
私は、片言の中国語を話すことができるようになりましたが、通じるための条件があります。
その条件とは、一対一で向き合い、相手が私の話を理解しようと努力していることです。 
逆にダメなのは、
 ・中国人同士の会話を横で聞いている場合、
 ・相手が私の話に関心を持ってくれない場合、
 ・突然後ろから話しかけられた場合
などでは、話が通じません。 6年間いても、この程度のものです。

そうそう運転の話ですが、日本で運転中、前後に車がいない田舎道を走っているときに、右側を走るべきか、左側を走るべきか分からなくなり、しばらくの間、右側を走行していたことがありました。そのときに必死になって考えて思いついた言葉が 「人は右、車は左」でした。「あ、そうか、車は左なんだ」と納得して左側に移った次第です。

  • 2008/04/19(土) 05:33:12 |
  • URL |
  • でっつ #m/aUcm4U
  • [ 編集]

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