大連日報 2011年4月27日 1面より
夏徳仁書記が中国大使丹羽宇一郎と会見
日本の在中国大使丹羽宇一郎が、昨日、東芝、日本貿易振興機構、伊藤忠商事、日立など日本企業主ら一行30余名が大連を訪問した。当日の夜、遼寧省常任委員、大連市書記夏徳仁が棒棰島迎賓館で丹羽大使一行と面会した。
夏徳仁書記は、日本が巨大地震と津波の災害に見舞われたことに深く同情の意を表し、災害を受けた日本国民にお見舞いをした。彼が言った、日本は巨大地震と津波に加えて放射能災害発生後、大連市民は関連する日本企業と日本国民に援助の手を差しのべると共に、なくなられた人々に深い哀悼の念をささげる。1万2千人を超える大連からの留学生が一人も被害を受けなかったことについて、わたしたちは、日本政府と民衆の優しい援助に深く感謝する。佐藤水産株式会社の専務、佐藤允さんは帰らぬ人となったが、率先して大連研修生20名を救護したことに大連市民は深く感動している。
夏徳仁は、多年に渡り大連と日本企業の協力と貢献に感謝した。また、近年は大連と日本貿易は緊密でますます発展している。(疲れたから途中まで、後日続きを)
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今まで、過去の記事については、「目次」を見てくださいと書いてきましたが、この度、全面改訂して、
『大連雑学事典ハンドブック』と銘打って、新たにスタートすることにしました。
記事のリンクを並べただけで、何の飾りっ気もありませんが、まとまった記事を見るのに便利になったと思います。
整理の仕方が今一なので、随時改善して行くつもりです。
よろしく、ご愛用ください。
でっつ
思うところがあって、本日の記事は削除しました。
大連には何の関係もないのだが、あまりにも嘆かわしく感じたのでページを割くことにした。
国慶節の休暇で日本に帰ったときのこと。
ある夜、テレビ番組を選ぼうと新聞の番組欄を眺めたが、芸能人同士の悪ふざけみたいな番組ばかりで、見たいものがなかった。
ビールを飲みながら、見るともなしにあるクイズ番組を眺めていたら、無性に腹が立って来た。
クイズとは名ばかりで、ひねりもなく、難しくもない、まったくの常識の確認ばかりなのに、まともに答えられない奴らばかり。答えられないことを司会者が馬鹿にして笑う。馬鹿ルームなるところへ押し込まれてもへらへらと笑っている出演者たち。出演者だって、子供じゃないんだよ。侍役をやらせればびしっと締める中年の俳優やら、熟年の女将さん役がうまい女優やら、イメージからは想像も出来ないだけに、本当に情けない。
こんな番組を作っているテレビ局にも失望した。
最初の問題:
実物の野菜を見て名前を言う。
野菜ったって「モロヘイヤ」だの「ツルムラサキ」だのって難しいもんじゃないんだ。
大根、きゃべつ、レタス、にら、しめじ、ブロッコリだの、あとなんだったかな?ともかく普通の野菜だ。
全問正解者がいない。にらを万能ねぎなんて言ってみたり、シメジをエノキなんて言ったり!!!!
まぁ、百歩譲って、日常的に忙しい人たちだから、お付の者が家事全般をやってくれるので、野菜の名前なんか知らなくてもしょうがないとしよう。
だけど、こいつだけは許せない!!
最後の問題:
子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥
つまり十二支に当てはまる動物のぬいぐるみを探す問題だが、全問正解は、元大リーガーのピッチャーただ一人。渋い侍俳優も、熟年女優も間違える始末で、オレなんかが名前も知らない若手芸能人など全く話にならずたくさん間違えている。
干支と動物なんか、小学校のときに覚えるものだろう!今が忙しいったって言い訳にもならない。
漫才師の司会者にめちゃくちゃにこき下ろされ、馬鹿にされても、えへらえへら笑っている出演者。
なんだこいつらは、日本人か?
こんな番組しか作れないテレビ局はアホか!
一番アホなのは、こんな番組を喜んでみている視聴者だ!
視聴率が良いからこんな番組がはびこるんだ。賢い国民はこんな馬鹿番組を見るな。あの時間帯は、どのチャンネルでも似たようなものだった。知性のかけらも感じられない。このままじゃ、科学技術だって、マナーだって、中国に追い越されるのは時間の問題だ。
お~い、危機感を持ってくれよ。
異国からの叫びがきこえるか~い?
今日から9月。
日本では防災の日と言うことで、国を挙げての大掛かりな防災訓練が行われる。
大連では、学校の新学期が始まるので、学生たちを迎える行事が華やかに繰り広げられる。
さて、下のグラフは、先月(8月)1ヶ月間に当事典を訪問してくれた方の訪問回数を図示したものである。
1日の訪問者数はおよそ300人強、月間で1万人程度だ。

1回しか訪れていない人が約40%いるが、初めて訪れたと言う事は、何らかの文字列をyahooやgoogleやgooなどで検索して、飛んで来た人だろう。
これとは別に、何回も訪問してくれている、いわゆる「常連さん」がどのくらいいらっしゃるのか興味があった。
パーセントを足していくと興味深い事実が分かった。
50回以上訪れてくれた人が、なんと28%もいるのだ。全読者の4人に一人がかなりの常連さんと思ってよいだろう。
常連さんの枠を20回以上までに広げると40%になるし、10回以上来てくれた人なら48%と、なんとおよそ半数に及ぶ。
他のブログについては分からないが、再訪問率が非常に高いのではないかと感じている。
これは、作者にとってとてもうれしいことだ。たまたま検索ソフトで飛んで来て、その後は2度と来ないのなら、魅力を感じなかったのだろう。
一度来た人のうち約半数の人が、10回以上のファンになってくれるということは、別のページも読んでみたいと思ってくれたのだろう。なんとも誇らしく感じる。
また、突筆すべきは、訪問回数100回以上の「プロ級の常連さん」が、19%もいらっしゃることだ。
常々コメントをくださる常連さんの名前はお馴染みだが、コメントを書かなくても、読んでくださっている人が沢山おられるのだなぁ。
皆さん、ご愛読ありがとうございます。
今後もよろしくご愛読ください。
まだコメントを書いたことがない人も、是非、気軽に参加してくださいね。
大連に住む長期滞在日本人を、次の5つのカテゴリーに分けた。
1、日本から派遣された駐在員
2、現地採用の日本人従業員
3、永住覚悟の自営業
4、留学生
5、コールセンター今日は
4、留学生だ。
現地採用日本人の生活が厳しいと書いたが、一番生活が苦しいのは、留学生かも知れない。
だけど、苦学生って言葉があるように、学生ってのは貧乏なものだと昔から決まっている。オレだって、学生の頃は3畳一間の万年床の上で、インスタントラーメンをすすっていたものだ。(学生時代に、数ヶ月間インスタントラーメンばかり食べていて、栄養失調で病院に担ぎ込まれた奴がいたっけ)
学生には夢があるから、今は貧乏のどん底でも耐えられるのさ。
留学生と言うと若者ばかりを連想しがちだが、大連の留学生には、年配の方も結構多い。定年を迎えて、第二の人生として何かを勉強したいとの意欲から、大連に留学して中国語を勉強している人たちがいる。
とは言っても、やっぱり若者の方が圧倒的に多いのだが。
留学生も何種かに分けられる。
1、日本の高校を卒業して、進学先として大連の大学を選んだ大学生
2、現役大学生の交換留学生
3、1年あるいは2年間の語学研修生。
学生については、よく分からないので、自分で感じた雰囲気を書いているので、間違っていたらごめん。
1は、留学生として極一般的な印象だが、大連ではあまり多くないのではないかな?
2は、日本の現役大学生が、半年とか1年間とか一定期間大連の大学で中国語の勉強をするのだが、日本の大学の単位として認定される。
大連で圧倒的に多いのは、3の語学研修生だろう。これは、冒頭書いたように、若い人が多いが年配の人もいる。
語学研修生を受け入れている大学は沢山あるが、筆頭は「大外」(ダーワイ)と略される大連外語大だろう。ここは、大連市内の中心街にあるので、しっかりと勉強の意思を持っていないと、夜の歓楽街をさまよい、勉強どころではなくなる危険性を孕んでいる。これからダーワイに留学しようとしている人は、志を強くもって、肝に銘じておいて欲しい。
大連理工大学は、市の中心部から離れているので、勉学には適しているだろう。他にも大連交通大学、遼寧師範大学などがある。
開発区には、大連民族学園、大連大学があるが、それ以外の大学にも留学生はいるのかも知れない。
「大連留学生の一日の生活費」と言う新聞記事があったので、一部を紹介しよう。ある休日の生活費だ。
彼のこの日は、朝食はパン3元、昼は日本料理屋で定食35元、夕食は鍋や麺で9元だったので、1日の食費は47元(700円)だった。この他に薬屋で頭髪剤30元を買ったので、一日で77元使ったことになる。
別の女性は、朝食はパン2.5元、昼食は中華料理の麺と小龍包8元、夕食は自炊で5元、ペットボトル500mlが1.1元、この日の食費は、15.5元。チャイナドレスを仕立てたのでこの日120元払って受け取った。オーダーしたときに前金200元を払っているので、このドレスは320元と言うことだ。
寮に入ってこんな感じが、若者留学生の生活パターンのようだ。
熟年留学生となると、様相が一変するのだが、これこそ人それぞれだ。
コメントから抜粋
青云さん
大外の留学生本科生としての留学生は、確かに真面目な人が多く、それなりに真剣に大学に通っています。
しかし、殆どの留学生は語学留学で、お金さえ出せば入学できるクラスに属し、授業態度も人それぞれです。
ひとクラスが25人前後で、構成は日本人5割、韓国人4割、他インドネシアや北欧が1割でしょうか。年齢構成のほうは、10代~20代7割、50代以上1~2割、他1~2割ぐらいだったように思います。
社会人経験がゼロもしくは、アルバイトか派遣等の職歴しかなく、日本にいても未来が見えて来ない、だったらひとつ海外留学だ!という若者のタイプが10代~20代に多く、取り敢えず日本脱出で、別のところからスタートすれば、このまま日本にいるよりも明るい未来が掴めそうだと思い留学してくる人々です。
日本で、ニートしているパラサイトなどより、100万倍もまともで、人生にあがきながらも、切り開いていこうとの意志が感じられます。もちろん、大連に来ただけで、人生が好転するわけではなく、壁にぶつかり苦労して、現実と闘って結果を出さねばならないことは、日本でも大連でも変わりはありません。
お気楽留学生の筆頭は、駐在員の奥様方でしょう。ひとクラス2~3人いまして、授業態度は概して真面目で、久々の学生生活を謳歌しています。この人たちは何かを賭けて、何かを為すために大連に留学しているわけではありませんので、最初から最後までマイペースです。同じようで、少し違うのは定年退職された50 代以上の方々です。この人たちは、これからの生活ベースをどうしようかと考えながらの留学ですので、奥様方より大連で生きていくことに真剣です。
最も人数が少なく、或る意味クラスで浮いた存在になり易いのが、働き盛りといわれる年齢の35~45歳ぐらいの人です。
精神的にかなりきつい想いをしながら、大連で生活している人も多いのではないかと思います。
留学生もお気楽から砂を噛んでいる人まで、それぞれだなァと思います。
値引き交渉においては、各人がそれぞれ秘策があることだろう。今日は、オレのやり方を公開しよう。
とは言っても、大したことはないんだ。
1、最初に言った値段は、妥結直前まで変えない。たったこれだけのことだが実行するとなると結構難しい。
例えば、店側が1000元⇒あなた400元⇒店800元⇒あなた500元⇒店750元⇒あなた600元⇒店700元⇒あなた650元⇒妥結650元。こんな風に互いに歩み寄っていったら、中央値に決まるのは当然のことだから、こちらは一貫して変えない。
店側が1000元⇒あなた400元⇒店800元⇒あなた400元⇒店そりゃ無理だよ⇒あなた400元⇒店700元⇒あなた400元⇒店冷やかしなら帰ってくれ⇒あなた400元⇒店しょうがねぇな600元⇒あなた400元⇒店もうこれで最後だ550元⇒あなた500なら買おう⇒店負けたよ500で持ってけ⇒妥結500元。雰囲気が悪くなっても変えない。店側は売りたいのだから歩み寄ってくるものだ。こちらから歩み寄る必要は無い。最後にここまでかと思ったところで一気に妥結に持っていけばよいのだから。
2、その他はおまけみたいなモノで、友達になるとか、論点を変えて意表を突くとか。
値引きは、場所や状況に応じて、適正な値引き率があるもので、ここは幾らぐらいまでイケそうかは、勘と経験で見当をつけるしかない。
今回のターゲットは、ビトンとかプラダの偽ブランドのバッグだとしよう。だいたいこういう店は、相当吹っ掛けているのが当たり前なので、半額程度で満足しちゃいけない。それこそ、株用語の「半値八掛けニ割引」の更に下を狙おう。
ちょっと立派なルイビトンのバッグを買うことにする。
「このバッグ幾ら?」
「これは、1200元です」
「えぇ!高いなぁ!!」驚いてみせる。
「こちらはモノが良いですからね」
「じゃぁ、あれは品物が悪いの?」相手の矛盾を突く。
「そんなこと無いけど、こっちの方が素敵でしょ。日本のお客さんが、随分買ってますよ」
「そうだねぇ、これ、気に入ったんだけど、安くならない?」戦いを仕掛ける。
「お客さん、日本から来たのですか、じゃぁ、1000元丁度でどうですか?」
「とんでもない、1000元も出すなら、別のものを買うよ」全く相手にしない素振り。
「じゃぁ、幾らなら買いますか?」客に指値をさせる、店側の常套手段だ。
「そうだなぁ、これなら300元で買おう」いきなり四分の一を吹っ掛ける。
「とんでもない、300元じゃ、原価にもならないわ」店側の決まり文句。
「じゃぁ、他の店を探すから、いいよ」こちらも相手にしない素振り。
「ちょっと待って、お客さん、300元じゃ話にならないけど、850元までならおまけ出来ます」この手の店なら、3割ダウンまでは、すぐ行く。
「オレは、300元って言ってるんだよ、どうして850元なんて提案するんだい」言い値を下げない。
「だって、無理なものは無理ですよ!850で精一杯!」
「ふーん、あなた、大連の人じゃないね」突然話をはぐらかす。
「え、どうして分かりますか?」相手はびっくりする。
「なんか、大連人みたいに野暮ったくないもの、出身地はどちら」何でも良いから、ちょっと褒める。
「私は広州から来ました」
「あぁ、広州だったんだ、オレ、広州に行ったことあるよ」共通点を探して強調する。
「広州はどうでした?」
「活気のある大きい街だったねぇ。大連よりずっと都会だ」
「私はうるさくてあまり好きじゃなかった、大連は静かでいいわ」
「オレも大連は静なので好きだよ。オレ達友達だね。広州の人にしては日本語上手だね、どこで勉強したの?」無理やり友達の雰囲気にする。
「広州の学校で2年間、もっとちゃんと勉強したくて大連に来ました」
「へぇー、偉いね。日本語もしっかりしているし」褒める。
「そんなこと無いです、まだ勉強中!」
「一生懸命頑張っているから応援したいな。このバッグ安くしてくれたら、買うよ」親近感を作った雰囲気で、値引きに戻る。
「そうですか、じゃぁ、日本円で1万円でどうですか?」今なら680元くらいだから、4割引以下になった。
「ダメだよ、おれは300って言ってるんだよ」絶対指値を引かない。
「だって、もう、無理ですよ!買う気あるんですか?」
「せっかく応援してやろうと思ったけど、ダメだな」投げ捨てるように。
「ちょっと待ってください、他のお客さんに言わないで!」これも常套句、やっと本気になって来た。
「いいよ、秘密は守るから」
「ヒソヒソ、丁度、半額の600元にしましょう」やっと半値になった。
「まだ高いな、それじゃ買えないよ」
「幾らなら買ってくれるんですか」店側もプレッシャーをかけてくる。
「だから、300元だって言ってるだろう」指値は引かない。
「絶対無理です」
「だって、オレの友達は、これと同じものを北京で200元で買ってきたよ」ウソでも良いから、屁理屈をこねる。
「それは、品物が違いますよ」
「どれどれ、同じだよ。あっ、ここの模様がずれているぞ」言い掛かりをつける。
「これは、正しい模様ですよ」
「300元にならないなら、もう、いいや、帰る」店を出る素振りをする。
「ちょっと待って、社長に聞いてみますから」彼女の裁量権を超えたようだ。
「早くしてくれよ」苛立ちの雰囲気を示してプレッシャーをかける。
「お待たせしました、社長から特別に450で良いと」
「なんだよ、300にならないのかよ」がっかりするが、そろそろ落としどころが近いと見る。ここからの、50元100元は時間がかかる。
「この財布は幾ら?」
「これは、350元です」
「じゃぁ、これも一緒に買うから、合わせて400元にしてくれ」指値を上げるのではなく、品物でサービスさせる作戦に切り替える。
「えっ、ちょっと待ってください」急な提案に、相手は困惑する。
「ホラ、400元」いかにも決まったように、財布から金を出して、支払う素振り。
「えーと、400元じゃダメよ。500にしましょう」
「分かった、じゃぁ間を取って、450」何が間だか分からないが、何となく説得力がある。
「はい、分かりました」
という具合に、最後は、社長の指示である450元から下げるのは難しいと見て、財布をおまけに付けさせた格好で妥結した。
こんな風にうまくいくとは限らないが、最初の指値を変えるのは、買う決断をした最後の最後で良い。
上述のやり取りは、実話ではなく、私の作り話です。
ルイビトン、プラダ、シャネルなどの偽ブランド商品は、日本には持ち込めません。
乗用車以外の車両(バス・トラック)には、前席ウィンドウの下に、会社名を半円形に書いてある。
聞けば、このように丸く書かなければならないと決められているようだ。大連だけの決まりかと思ったが、上海に行ったときにも同じように丸く書いていたので、中国全土の決め事のようだ。農民など会社組織で無い場合には「大連開発区金山街道」のように、所在地を書く場合もある。
バスやトラックは仕方ないとしても、乗用車代わりに買ったスタイリッシュなワンボックスワゴンに、野暮ったい半円形の会社名を書かれることには抵抗のある人も多い。そういう人の中には、登録(車検のようなもの)の時には仕方なく書くが、検査が終わったらとっとと消してしまう人もいる。

写真の上は、
「大連赤十字血液センター」と書いてあり、献血車の表示だ。下の二つは、会社名の表示だが、字数が多ければ、このようにきれいに半円形に書くことが出来る。
しかし、下の写真のように、4文字でも敢えて、半円形に拘らなきゃいけないのかなぁ?

確かに、半円形の文字を見れば、会社名を瞬間的に判読することが出来るので、防犯には役立つかもしれない。
高さ20メートルくらいの旗竿の修理をしようとしている。

装置の名前は知らないけど、垂直に上下するプラットフォームを大型トラックの荷台に載せて、旗竿の近くに横付けした。
架台の上に作業員が乗ったんだけど、手が届かない。
そこで彼らは考えた。
木材を3本横に渡して、その先に人が乗ればよいと。
ところが、人が木材の上に移動すると、体重で木材の反対側が浮き上がってしまう。
そこで彼らはまた考えた。
木材の反対側に紐をつけて、浮き上がらないように、下で引っ張ればよい。
と言うことで、作業している様子なんだけど、危ないなぁ!
どうして、下から引っ張るって発想になるかなぁ?
案の定、時どき浮き気味になって、
「お~い、ちゃんと引っ張ってくれよ」なんて言ってるし。
一応命綱は着けているので、最悪の事態は避けられそうだが、危なっかしいことこの上ない。

オレが、現場監督だったら、このへんてこなプラットフォームじゃなくて、消防のはしご車のように高所作業用のカゴが着いた装置を使うことにする。もし同じような作業をさせるにしても、木材をプラットフォームにしっかりと結びつけて固定させるけどなぁ。
いずれにしても、日本では見られない作業風景だ。
中国に住んで3年半になる。
物真似製品や贋物があふれる国で、一向に守られることの無い特許制度について、存在意義などをいろいろ考えてみた。
中国では、似たような物真似製品がすぐ出でてくるが、一般に品質は良くない。
中国にも、国際標準に則った特許制度はあるし、発明者の権利を侵してはならないことになっているし、特許権侵害で裁判を起こせば、真っ当な裁定をするはずだ。しかし、現実には、特許など関係なく模倣商品が次々と出てきて店頭に並ぶのは何故だろうか?
正直なところ良く分からない。
一つの因子としては、市場経済が成熟していないので、長期安定の民間会社がまだ少ないことが挙げられる。 如何に中国といえども、将来に向けて会社を成長させようとするまともな経営者は基本的に法律違反(違法な特許侵害)は避けようとするはずだ。逆の言い方をすれば、現在の中国では、将来を考えずに、目先で一儲けしようとたくらんでいる連中が多数暗躍していることを意味している。
取締りが情報が入ると、さっさと工場をたたんで、どこかに逃げてしまう。投資した金額以上の利益が出ていれば、事業には何の未練も無い。彼らは、物真似の情報源として特許文献を活用しているに違いない。こんな連中に知恵を与えるだけなら、特許公開を止めてしまった方がマシだと思う。こんなヤツらに、特許情報を提供する必要は無い。
こんなきっかけで、特許制度の歴史やこれまでの成果、現在の問題点などを調べてみた。ここまでの考え方は、以前の記事に書いたとおりだ。
1、問題提起2、スポーツに特許を持ち込んだら3、特許制度の目的4、時代錯誤5、実業と虚業
中国の違法な業者に特許情報を公開しないで、完全な自由競争にしたらどうかと思ったのがきっかけだったが、いろいろ考えてみると、中国とは関係無しに、現在の特許制度の問題点が浮かび上がってきた。
ベニスから始まった近代特許制度は、20世紀までの科学技術の発展には大いに貢献したのだが、21世紀の急速な進歩に制度が付いて来れず、歪みが生じているのだと思う。
今や、特許制度は本来の目的を見失って、悪徳ビジネスの温床になっている。
「産業の発展に寄与する」どころか、むしろ権利者同士が足の引っ張り合いをして、産業の発展を阻害している面さえある。
発明王エジソンは、発明を考案するだけでなく、実際の物作りと製品化にこだわったと言う。実際に物を作って販売活動をすることを事業化と言い、そういう人たちを
実業家と呼ぶ。この点では、エジソンは発明家であり、GE(ゼネラル・エレクトリック社)を立ち上げた
実業家でもあった。
これに対して、最近の特許ビジネスにおいては、特許出願だけしておいて、製品化には興味が無い。やがて、どこかの会社が製品化した後で、特許訴訟を起こして巨額の和解金を獲得する「悪徳特許ビジネス」が横行しているのだ。こういう連中を
虚業家と呼ぼう。
ミノルタがハネウェル社の使ってもいないオートフォーカス技術に1億ドル(110億円)以上もの巨額の和解金を支払った例は良く知られているところだ。この時に、ハネウェル社は、オートフォーカス技術を事業化しておらず、何の被害も受けていないのに100億円を手にしたのだから、これを
虚業と言わずして何と言うべきか!
また、住友電工は米国コーニング社との光ファイバ特許訴訟において、詐欺紛いの理屈に敗訴し、和解金33億円を支払った。この辺の事情については、
国際特許戦争の罠に詳しく説明されている。
このように、百億円規模の特許訴訟が起こるのは、アメリカばかりだ。その背景には、米国には、特殊な特許問題が内在しているからだ。
・「公開・公告・異議申立制度」が無く特許の質が低い、
・勝手な理屈による「先発明主義」がある日突然権利を主張する、サブマリン特許を生む、
・「素人陪審員制度」による無茶な判決、
・情報を公開することが大前提の特許制度の原則を無視した「軍事特許(秘密特許)」
・軍事特許を、後々産業化に応用するなどして特許制度を国家の産業防衛手段として私物化しており、特許制度を維持するための大義名分さえも無視しようとしている。このような問題を内在している米国が、国際協調(ハーモニー)から逸脱した制度を堅持しつつ、世界を振り回しているのが現状だ。余談だが、米国での特許出願件数の上位数社は、全て日本企業なのだ。この状態を日本企業が誇らしく思うのではなく、多額の申請費用を使って、アメリカに踊らされるとも思える。
そもそも特許権とは、排他的な権利、すなわち、使わせない(使用を禁止する)権利なのだ。
産業の発展の為には、特許制度止めて、一切の規制を廃止し、自由競争にすれば良いと思う。
しかし、自分が考えた発明を、自分で事業化して、金を稼ぐのは、当然のことだ。この時に、他人に真似をされたら迷惑だ、と言うのは理解できる。
ところが、自分は事業化はしないが、他の誰もやっちゃいけない、と言う権利だけ振りかざした
虚業家の理屈が、産業の発展に寄与するとはとても思えない。
もしも「特許法」を廃止して、「発明者保護法」を新設するとしても、排他的な権利は実際に実業化している発明に限り、悪徳な特許ビジネスを狙っている
虚業家の権利は、根こそぎ剥奪するような制度にすることが望ましい。
結論として、一時代の役割を終え、もはや腐敗した特許制度を、この際一旦廃止して、真っ当な研究者や事業者が、正当な評価を受け、広く産業の発展に寄与する新しい制度の制定が求められていると思う。
最後に、ここまで5回に渡って述べた「特許廃止論」はあくまでも、工業所有権たる特許を対象にしたものであって、「商標権」や「著作権」は含まないので、誤解の無いように。
加えて言えば、虚業としての「商標」はありえないと思う。いわゆる「ブランド品」については、時間とお金と名誉をかけて、自ら市場を切り開いた結果として「ブランド」の地位を獲得したもので、そこに偽の名前でちゃっかり相乗りするのは、絶対に許すべきではない。(了)
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