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大連雑学事典

2008年3月までは、大連在住の総経理が現地レポート、その後は日本からの回顧録や中国語トピックス。 過去の記事は右下太字の「大連雑学事典ハンドブック」を参照してください。

大連で残るのは森ビルだけ

ニュージーランドの大地震で建物が崩れ落ち、大きな被害が出ている。天災とはいえ、痛ましいことだ。
大連は地震がない地域だから、大丈夫と地元の人は言っているが、もし大地震が起きたら……。
日本から来た建築家が、こんなことを言っていたのを思い出した。

大連のビル建築現場を見ると、柱は細いし、床は薄く、鉄骨の量も少ない。
まともなのは、森ビルだけだと。
森ビルは、日本の建築会社が日本の耐震基準で建築したものだそうで、万一大地震が起きたときに、周りのビルが崩れ落ちても森ビルだけが最後まで残るだろうって。

森ビルには、賃料が高いにもかかわらず、大手の日系企業がたくさん入っている。
日系企業が多いから便利だと言うこともあるが、安全管理の面からも、多少賃料が高くても森ビルを選びたい気持ちは理解できる。
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カントリーリスク(3)

生活インフラのリスク。

生活インフラって何かと言えば、生活するための基盤のことだ。
「衣食足りて礼節を知る」と言う言葉があるが、ここでいう「衣食」よりももっと基本の部分、「空気と安全は無料だ」と言われる辺りかな。

ホテルなんかは管理がしっかりしているからマシだが、一般のアパートや賃貸マンションを借りるとトラブルが続出だ。これらの物件は、個人が投資目的で買った家を不動産屋経由で契約することが多い。不動産屋との契約条件にもよるが、一旦契約してしまったら、大家さんと個人交渉になることもしばしばだ。

・ある日突然電気が使えなくなった。
 夏場に多いのだが、電力量が足りなくなったからと、限電(電力を制限)されることがある。電力公司から通知があるらしいのだが、日本人が情報をつかむのは難しく、実質的には突然停電になったと感じる。ともかく、通常は1日単位で突然電気が使えなくなるのだから、困る。

・ある日突然電気が使えなくなった。
 限電かと思ったら、周囲の家は明かりが点いている。よくよく聞いてみたら、大家が電気代を支払っていないので止められたと分かった。さっさと支払うように交渉したが、土日は支払えないので2日間待ってくれと。これは、限電による停電よりも腹が立つ。 

・下のフロアの住人が怒鳴り込んできた。
 水が漏れているから、水道の元栓を止めろと言っているようだ。そんなことは知らんと応対すると、つかつかと上がりこんで来て、「ほら、ここから水が漏れているから、下の階はびしょびしょだ、元栓を止めろ」と言うわけだ。大家を呼んで修理させるまでは、水道が使えない。
大連に限らず、中国の建築物では、水周りのトラブルが非常に多いので、自分自身が加害者になる場合と、逆に被害者になる場合と、両方ともリスクが大きい。

・突然、温水が吹き出てきて、カーペットがびしょびしょになった。
 大連には、暖気という地域暖房機の設置が義務付けられている。これは、地域の熱力公司が、温水を供給して広く住民に暖房を提供すると言うもので、スチーム暖房機のような機器もあるし、最近では床下暖房機も増えている。問題は、この配管工事がいい加減な場合が多いので、突然配管が外れたり緩んだり壊れたりして、温水が吹き出すことがあるのだ。こうなったら、業者を呼んで修理させるしかないのだが、室内はびしょびしょだ、しかも鉄錆が一緒に吹き出ることが多いので更にに悲惨だ。
これも、前述の水周り事故の一例だ。

・エレベータが止まった。
比較的新築マンションの16階辺りの部屋を借りた人の経験だが、入居して3週間ほどのある日、突然エレベータが使えなくなった。管理人に聞いても原因が分からない、いつ復旧するのか聞いても一向に埒が明かない。結局、新築だからと喜んで入居したにもかかわらず4日間ほど、16階まで階段を上らざるを得なかった。
 
・ビルからタイルが剥がれ落ちた。
 街を歩いているときに、上から物が落ちてくるリスクがある。オレが目撃した事例では、12階建てのマンションの屋上付近の壁からタイルが10枚ほど同時に剥がれ落ちて地上で砕け散ったことがある。このときは、幸い、人はいなかったので怪我人は出なかったが、通行人がいたら重傷間違いなしだが、こんなことはニュースにもならない。
 この目撃事件以降、気を付けてビルの壁を見るようになたのだが、こうしてみると、タイルが剥がれ落ちている部分が結構目立つのだ。
tilelak.jpg
左側のビルの黒い部分のタイルが剥がれている、右側のビルの赤い地肌が出ている部分のタイルがない。

 ニュースになった事例としては、開発区のマイカルのガラスが落下して通行人女性の耳をそぎ落とした事故があった。不幸中の幸いといえば命に別状がなかったことだが、安全性を無視した奇妙な建築設計が引き起こした事故だと思っている。
 道路を普通に歩いていて上から建築物が落下してくるとは、生活インフラのリスクと言っても過言ではあるまい。

カントリーリスク(1)

中国で6年間仕事をして、無事に帰国できたことを喜んでいるのだが、振り返ってみると、中国におけるカントリーリスクのトップは交通事故のリスクだったような気がしている。
中国の交通事故事情については、
   中国の自動車は日本の42倍もの人を死なせる
   交通事故が多いのは?
   運転手のつぶやき
などの記事で紹介しているとおり、日本よりも圧倒的に事故頻度が高い。

会社の運転手には事あるごとに「安全第一」「別着急」(急ぐな、いらいらするな)と教育し、必ずシートベルトを締めて事故に備えていたし、プライベートでは一般のタクシーよりも安全と思われる顔見知りの「白タク」を利用していた。
安全のために 「白タク」を使う。などという理屈は、中国事情に通じていいない日本人には幾ら説明しても分かってもらえないだろう!!
「白タク」は、違法だから、もし事故を起こしても補償をしてくれないだろう、その通り。
「白タク」は、違法だから、もし警察に摘発されたら、その場で降ろされるかもしれない、その通り。
「白タク」は、違法だから、メーターが無いので、言われるがままの料金になる、その通り。
「白タク」は、違法だから、正規の領収書を発行してくれない、その通り。
だけど、どんな理屈よりも、事故に合わないことが、一番優先すべき事項だ!!一般のタクシーよりも「白タク」の方が事故率が低いと思う。
10元20元の近距離はともかく、空港や大連市内に行くときには、馴染みの「白タク」か馴染みのタクシーを呼ぶのが当たり前で、現地の中国人もそうしている。
万一事故に合ったときには、こんな理屈を百万回唱えても、コンプライアンス信仰の日本人には通用しないことは分かっているが、身の安全のためには、理屈よりも実践だ。

中国のタクシーは、一昔前の日本の「神風タクシー」のように、乱暴で飛ばすし、実際事故を起こしており、オレ自身の目撃件数も一般自家用車よりも多いように感じている。
また、タクシーは、メーターを不法に捜査して、雲助に豹変する可能性がある。

それに対して、顔見知りの「白タク」の方が安全運転で信頼できる。
「白タク」連中は、顔で商売しているので、信用を失ったらその地域で商売できなくなる(もともと違法なのだから、通報でもされたら大変だ)。 だから、安全運転で信頼性を高めようとしているのだ。
料金についても、タクシーメーターと同等の料金しか請求しない。不当に高く請求すると信用を失うから。
「白タク」賛美が過ぎた感があるが、白タクでも性質の悪いのはダメで、その見極めが必要なのは当然のことだ。

社用車の安全教育、安全な白タク利用、などの防衛策を講じていても、中国の交通事故は怖い。
もらい事故の危険性だ。
 赤信号で停止したところに追突する車。
 直進車にぶつかってくる右左折車。
 後方を確認しない突然の車線変更。
 こんな事故も、日常的に発生しており、数多く目撃してきた。

こうして冷静にみると、6年もの間、事故が自分に降りかかってこなかったのは、ラッキーとしか言いようが無い。
実は、北京のタクシーに乗っているときに、一度だけ軽く追突されたことがある。運転手は「追突されたので、調べに時間がかかる、申し訳ないがここで降りてくれ!」と料金は請求しなかった。

この一度だけで済んだのは、奇跡的だったかも知れない。

カントリーリスク(0)

一週間のご無沙汰でした。
昔、ロッテ・歌のアルバムという番組で、司会の玉置宏の最初の挨拶だった。なんていうと、100円札ほどではないにしても、歳がバレるというヤツだ、何しろ30年も前の番組なのだから。

さて、日本に帰国して初めての書き込みになるが、ひとつ驚いたことがあった。

二つ前の書き込み、「真っ黒くろ助」と題した2008年3月27日の記事についてだが、中国に居たときには、3件目以降のコメントが開けなかった。つまり、最初のコメント(星火燎原:サンディさん)と2つ目のコメント(吐蕃/西蔵は:hexueさん)までは見えるのだが、3つ目のコメント(西蔵と東倭:サンディさん)以降5つ目のコメント(西蔵/Tibet  雑感:hexueさん)が開けないのだ。
そのときはFC2ブログのサーバーが調子悪いのかと思っていた。

ところが、日本に帰ってきて確認してみると、何の問題もなくすべてのコメントが開ける。いったいこれはどういうことだ!?
(今は、中国でも見えるようになったのでしょうか?サンディさん如何ですか?)

まさかとは思うが、チベットの話題を取り上げているから、中国公安部が制限しているのかと邪推してしまう。 こんな個人のブログにまで、公安担当者が直接目を通しているとも思えないので、吐蕃/西蔵/Tibetのような言葉に反応して、制限を加えるプログラムでも作ったのだろうか?

中国公安当局が本気で調べれば、オレの正体など半日でバレて、騒乱幇助罪かなんかでしょっ引かれていたかもしれない。こんなことを考えると、中国で6年間仕事をして、何事もなく帰国できたことでほっとした一面がある。

中国で仕事をするということだけで、日本とは違ったリスクが存在する。いわゆるカントリーリスクと言う奴だ。思いつくまま書き並べてみると、次のような事柄だ。
 ・交通事故のリスク
 ・言葉によるリスク
 ・生活インフラのリスク
 ・精神安定上のリスク
 ・文化の違いによるリスク
 ・食の安全に関するリスク
 ・伝染病のリスク
 ・病院治療へのリスク
 ・性的誘惑のリスク
 ・公安部摘発のリスク
 ・会社での職責上のリスク

1回の記事で長々と書くとめんどくさくて読んでくれないかもしれないので、次回以降分割して書くことにする。