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大連雑学事典

2008年3月までは、大連在住の総経理が現地レポート、その後は日本からの回顧録や中国語トピックス。 過去の記事は右下太字の「大連雑学事典ハンドブック」を参照してください。

二輪タクシー(バイクタクシー)

サンデーさんからバイク3人乗りの書込みがあり、以前に紹介した記事を探そうと思って、「二輪タクシー」や「バイクタクシーで」検索したが、みつからない。
なんと、書いていなかったのだ。
実は、この大連雑学事典を始めたのは、2005年2月28日からだが、それ以前に「大連だより」と題して、pdfの小冊子を公開していた。その中に書いたのを「大連雑学事典」と勘違いしていたのだ。2005年以降は「大連雑学事典」の記事の抜粋になってしまったのだが、それ以前は、「大連だより」のために記事を書いていた。その中に二輪タクシーの3人乗りを紹介していたのを思い違いしていたのだった。

古い写真を探し出したので、改めて書くことにしよう。写真の季節がいろいろ混ざっているので、服装はバラバラだが、お許しを!m(_ _)m

さて、商売の形だが、こんな風に、客がいそうなところに集まっている。スーパーの店先なんかが多い。
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この写真では、綺麗に整列しているが、いつもこんな風に並んでいるとは限らない。一応正式に営業許可を取っているらしくて、前輪の泥除けに登録ナンバーを表示している。
ご覧のように、ヘルメットなど被っちゃいない。(奥から2番目の赤いのはヘルメットかなぁ)

規定では3人乗りは禁止されているはずだが、baiku31.jpg
こんな風に、3人乗りは日常的に見かける。
(この運転手は珍しくヘルメットを被っているが、少数派だ)
オレもバイク乗りだから、バランス感覚はまともな方だと思っているが、後ろに乗っている女性のように横乗りは怖くてとても出来ない。見る度に、この人たちはすごいなぁと感心する。

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これは、買い物帰りの夫婦だろうか?奥さんなんか、横乗りですっかりリラックスしているし、、、すごいなぁ。

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やっぱり、女の子は護ってあげなくちゃって、男が後ろからカバーしている。(たまたま乗った順番がそうなっていただけかな)

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後ろの女性は横乗りが好きなのかと思っていたら、スカートだから脚を広げられないってことだったのだ。
それにしても、上の写真にもあるけど、バッグの肩掛けは止めた方が良い。安全のためには、出来れば「斜め掛け」か、せめて「首掛け」にして欲しいな。

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男同士だって、この通り密着3人乗り。

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こんなに交通量の多いところだって突っ込んじゃう。

さて気になるお値段だが、初乗り2元なので、四輪タクシーの四分の一。
メーターが付いている訳じゃないので、厳密な距離制にはなっていない。乗る前に、「△△通りまでだから3元」とか「2元で行って」とか交渉する。

オレは、こんな危険な乗り物には絶対乗らないはずだったのだが、一度だけ乗ったことがある。
それは、上海に出張に行ったときのことだった。
地下鉄の駅を降りて、タクシーに乗るはずだったが、目の前の道路がものすごい渋滞で、車なんか文字通り歩くより遅い状態だった。歩いていこうかとも思ったが、土地勘がなく迷子になりそうだったので、非常手段として二輪タクシーを利用することにした。
大連の二輪タクシーと違って、さすがは大都会の上海だけのことはある、客用のヘルメットを渡して被れというのだ。誰が被ったかわからない汚らしいヘルメットに抵抗はあったが、安全のためなら仕方がない。言われるままにヘルメットを被って走り出したら、怖い怖い!!
オートバイのケツは大体怖いものだ。四輪車以上に運転の癖が出る二輪車だから、自分の感覚にあわないコーナリングやブレーキングに違和感を感じるのだ。
オレは、マナーは悪くはない(と思っている)が、おとなしいライダーではない。隙あらばスピードは出すし、すり抜けはやるし、「S字追越し」もやる。「S字追越し」って自作の単語だが雰囲気は分かるだろう。自動車の右があいていれば右側から、左が開いていれば左側から自由に追い越しをかける。四輪車の前にヒョイと飛び出す格好になるが、十分に加速して出るので、運転手が瞬きしている間に遠くへ行ってしまうからあまり迷惑にはなっていないはずだ。昔、バイクに乗っていた頃は、スピード違反常習で、免許証に傷がない期間がほとんどなかった。大連にいる間6年間ほとんど運転しなかったので、生まれて初めてゴールド免許になったくらいのもんだ。
そんなライダーのオレだが、上海の二輪タクシーは怖かった。すり抜けなんてもんじゃない、歩道に乗り上げても前に出るし、渋滞で混雑しているのをいいことに赤信号の交差点の真ん中まで進んで、左折(日本なら右折に相当する)ラインの隙を見て強引に車線に入り込む。オレは、タンデムシート(二輪の後部座席)に座ったら何もできないのでただバイクにしがみついているだけだった。
しかし、渋滞の最中、速いの何の、ほぼ同じ時期にタクシーに乗った連中と比べて30分以上は速く着いて遅刻しなかった。大した距離じゃないのに30分の差はすごいよ、それだけ渋滞がひどかったと言うことだが。
二輪タクシーは2元だと思っていたが、数十元取られたと記憶している。文句を言ったら、速く着くように一生懸命走ったのだから、費用をもらうのは当然だと開き直っていたが、彼らなりに仕事に誇りを持っているようだ。
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1元食器は本当に清潔ですか?

2007年9月に「消毒食器の有料化」と言う記事を紹介した。
これは一過性の流行ではなく、どんどん普及が進んでいるようだ。
大連晩報ネットでこんな記事を見つけたので紹介する。
http://www.dlwb.com.cn/dlwb/news/jsp/shownews.jsp?id=130459

要旨はこうだ。
  ・1元食器のことを集中消毒食器と呼ぶ。
  ・健康嗜好に合って、市民の受けも良い。
  ・洗う水量が減り、健康にも、環境にもよく、衛生管理もしやすいので、全国規模で普及が進んでいる。
  ・積極的に食器集中消毒センターを設立する動きもある。
  ・その一方で、運用基準が定められていないため、いい加減な洗浄で済ませる悪質な業者もみられる。
  ・早く、きちんとした管理基準を定めなければならない。

以下、翻訳。
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大連晩報 2008-06-18 文/本誌記者 唐楓
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およそ1年前から大連市では、大型中型のレストランで消毒食器が使われ始めた。消毒食器は1セット毎に消費者から1元のお金を徴収する。市政府の関連部門ではレストランは客から1元を徴収すべきではないと呼びかけてきた。しかし記者は最近では大中規模レストランばかりでなく小型の飲食店でもこの集中消毒食器が普及しはじめ、例によって1元の料金を取っていることを発見した。1元徴収については禁止されてはおらず普及の勢いが増している。その理由は、客自身が「1元で健康を買う価値がある」と思っている多くの消費者がこのような心理を抱き、消毒食器に心を開いているからである。

しかし集中消毒食器は本当に清潔なのか? 1元で本当に健康が買えるのか? 
数日前、記者は「集中消毒」会社の一人の作業員から次のようなことを聞いた。
彼が所属する集中消毒会社は、手作業の現場で自分も含めて僅か3人の作業員が、いわゆる「集中消毒」の作業をしており、その実態は、手作業で食器を洗いその後擦って、、、、、。と。

記者は、この関連の基準書を探したが、この分野は新しい業種なので、今のところ集中消毒食器に関する基準書はない。この一連の調査の後、記者は思わず一握りの冷や汗を禁じ得なかった、1元で健康を買うことには本当に注意が必要だ。

消毒食器は、大連では至る所で盛んに使われている。現在、あまり大きくないレストランに入れば、どこでも集中消毒食器を享受することができる。一般には、飯椀、皿、茶碗、コップ、スプーンの5点と箸を加えた6点の包装されたセットが1元である。記者は、昨日、開放広場付近の新装開店から間もないレストンランで見ていると、すべてのテーブルの上にこの種の食器がプラスチックの薄膜で包まれて並べられており、お客が席に着くとすぐに、係員が、「食器を開けますか?」と聞き、記者が観察していた2時間余りで、すべての客がこの種の集中消毒食器を選択していた。
この数日来、記者は、青泥洼橋、西安路など繁華街のレストランを訪問したところ、基本的にはどこでもこの集中消毒食器を使っていた。青泥洼橋のあるレストラン経営者が記者に語った、自分では今年の初めからこの食器を使い始めたが、今や多くのレストランがこの集中消毒食器の契約をしていると。
大量に使うのは、便利で環境に良いからだ。
今年の二つの会議で、市の政協委員で大連開発区の聚仙楼の支配人韓吉光が一つの提案書を書いた、すなわち「速やかに集中消毒食器を広める提案」である。
韓吉光は考えた、大連は観光都市であり、流動人口が多く、その規模も大きい。飲食店のレベルの差はまちまちで衛生条件もばらばらだ。高中レベルのレストランは基本的に消毒設備を有しており、衛生レベルを保つことができる。しかし、多くの中小の飲食店には食器消毒設備はなく、衛生防疫条件は要求レベルを維持することができない。そのため、飲食店の食器は、集中消毒食器に統一して、衛生面の合格率を高くしようとする提案だ。韓吉光の提案は、集中消毒と集中輸送をする食器消毒センターの設立だ。集中消毒による環境保護の効果も明らかになったので、この方式により無駄に使われる食器盆、使い捨ての箸を淘汰し、資源を節約し、また一歩一歩、防疫目的に到達する。
更に飲食店の廃水処理量が大幅に減少し、周囲の環境を改善すると共に、汚水のたれ流しが減少する。

その他に衛生管理監督部門の監視管理にも利益がある。各レストランが各自に行っていた消毒から集中統一消毒方式に変更することによって、衛生管理部門はこの消毒会社を管理するだけで、食中毒などの発生を未然に防ぐことができる。

食器の集中消毒は、レストラン、お客、社会の三者にとって有益である。
だが、消毒企業は、玉石混交なのが実態だ。

集中消毒は現在全国で始まっている。韓吉光委員の情報によれば、現在国内では杭州、温州など30の都市で食器の集中消毒が行われていて、毎日400万セット以上の食器が社会に提供されている。広西では、大規模の食器消毒会社が1社で数万セットの食器を消毒し、広西では、飲食店が第三者の消毒会社が提供する食器の使用を推奨する政策を打ち出し、使い捨ての箸をなくし、2006年8月には、深センに最大の消毒センターを設立した。

関係者の話によれば、大連の消毒会社は昨年末から順次増え続け、現在20社余り、だけど、いくつかの消毒会社は家庭内手作業方式である。大連市のある消毒会社の責任者である任さんが記者に語ったところによると、彼の会社は昨年の6月に成立し、当時は大連には、食器消毒会社は、わずか2,3社しかなかった。目下、この会社は大連で40以上のレストランに集中消毒食器を配送している。毎日午後3時に消毒食器を配達し、同時に前日使用した食器を回収する、これらの消毒食器は1セットの消毒コストは0.8元だが、レストランでは、客から1元を徴収している。

ある企業内関係者が記者に語った。
集中消毒と言うけれど、消費者には見えない部分がある。
彼らが言うには、自分が以前勤めていた消毒会社は、小さな家内工業で、自分自身を加えても3人しかおらず、椀や箸を手洗いして、洗った後プラスチックフィルムで包装しているだけで、「実はとても汚い!」いくつかの小企業では工業用乾燥機を使用しているが、いくつかの会社では家庭用消毒機を使っており、条件は劣っている。甚だしきにいたっては全く消毒されていない。 また、あるところでは、大きな洗い桶の中で洗いその後、布で拭き取るだけでコストを0.6元に下げることによって、悪質な競争をしている。

基準が定められていない。

記者は理解した。目下わが国には、これらの集中消毒の企業運営の基準が定められておらず、多くの汚れが残され、菌も残留している?かも知れない。
 ・普通の白磁器食器の強度は低いんじゃないか?
 ・壊れ易いんじゃないか? 
 ・高温に耐えられるのか? 
 ・300℃を超える高温殺菌の遠赤外消毒乾燥機を通したのか?
調査中、多くの市民が集中消毒食器に対してこのような疑問を持っている。1元を徴収すべきかすべきでないか、多くの人たちの関心は、変化している。
1元で健康を買うことができますか?
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レンガの建物

四川省の大地震では、すでに3万人が亡くなり、生き埋めや行方不明の人数を考慮すると、最終的な死亡者数は、5万人を超えると予想されている悲惨な災害だ。二次災害や疫病などが広がらず早く復興してくれることを望むしかない。
ニュースを聞いて最も悲惨だと感じたのは、学校が崩れ落ちて、子供たちが丸ごと生き埋めになった事例が1校2校ではないと言うことだ。これは、建物の構造に由来する人的被害だと思う。

今回の地震エネルギーは阪神大震災の20倍とか30倍とか言われているので、被害がある程度大きいのは止むを得ないのだが、人的被害を拡大したのはレンガ壁による建物のせいだと思っている。

レンガ壁の危険性については、一皮剥けばレンガの壁に書いたことだが、予想通りレンガが崩れ落ち、隙間なく積み上がって、人が這い出る隙間を埋めてしまった。ニュース写真を見ると猫も入り込めないほどの瓦礫の山になっている。

レンガの壁をもう一度説明しておくと次のような構造だ。
建物の内部はこんな風に柱が梁と上階の床を支える骨格を構成している。基本構造には壁はない。
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間仕切りの壁は、このようにレンガを積み重ねてセメントで固めている。壁の中には鉄骨や鉄筋はなくただレンガを重ねているだけだから、強度は期待できない。
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小さな壁は、レンガを横に使って薄い壁になる。

こんな構造だから、間仕切りの変更は簡単だ。レンガをハンマーで崩せばよい。
人間がハンマーで叩いて崩れる壁だから、地震エネルギーで振動を与えたら、簡単にレンガ壁が崩壊するのは誰でも分かるだろう。震度4くらいで崩れるような気がする。

大連は地震がないから関係ないとは言っていられないだろうな。(本当は)

成都住在のKMさんからコメントを頂きましたので、要点を掲載します。
全文は下のコメントをご覧ください。
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成都からKMさん

成都からの報告です。アメリカの地震専門機関での解析で、当市の震度は4~5弱に相当するとの報道に接しています。しかしながら、私の大学で上記(震度4くらいで崩れる)の現象はまったく起きていません。壁表面の漆喰に何か所かひびが走った程度です。

ようするに、建物の基本的強度は柱にあります。壁はあまり強度に関係していません。ですから、報道の映像で見る倒壊した学校、例えば都江堰市の中学の場合もビルであり、基本的に柱の強度が不足していたことによる崩壊と見るのが妥当です。もちろん壁にも強度を負担させ、このため壁も鉄筋を入れる構造にしておくことがよいことは当然です。ですが、これは日本のような地震国でいえることで、世界の大半の国はそうなっていません。
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偽札分析 毛沢東50元(1999年版)

今回は、毛沢東50元札1999年版の偽札だ。

100元札では目立ちすぎるから50元偽札を作るんだろうか?
まず全体観察から。
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上が真券で下が偽札だ。
手触りで、毛沢東の詰襟から肩の辺りのインクの盛り上がりをチェックすると真券はザラザラした感じがするが、偽札はするっとしているので、お札を扱い慣れた人ならすぐ分かる。右下の盲人触覚用の点字部分も偽札ではつるっとしている。

よく見ると、偽札の毛沢東の後頭部の右側の菱形ブロックの中に縦書きの白い文字で50と書いてあるのが見える。ここには、影文字で50が表記されるのだが、技術的に難しいものだから、いんちきをした跡なのだ。
真券ならこの部分に光を斜めに当てると、影で50の文字が浮かび上がる。こんな風に0804nise600.jpg
ただし、これは2005年版の写真だが。
偽札で似たような効果を出そうとしたものだが、よく見ればいんちきだと分かる。

例によって、透かしを観察しよう。
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上が真券、下が偽札だが、どちらも良くできているので、透かしを見ただけでは真偽が分からない。

50元札には、札の左下の角の部分に、表裏の半円を透かしてみるとぴったり一致する中国銀行マークがある。
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左が真券、右が偽札だが、かなりよくできているので、ここで真偽は決められない。

次は、紫外線照射で光る蛍光印刷のチェックだ。
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左が真券、右が偽札。偽札の方がボヤァっとしているが、一応光ることは光っている。

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オレがいつも決め手として使っているのが、国章と瞳の印刷だ。
上が真券、下が偽札。明らかに偽札の精度が悪い。

最後は、毛沢東肖像画の瞳の部分だ。
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瞳の中の鮮明さが全く違うので、右が偽札だと分かる。

ここまで丁寧にチェックしないと分からないくらいに、良くできているが、冒頭に書いたように慣れた人なら手触りですぐ分かる。

偽札分析 毛沢東20元札(1999年版)

今回は、20元の偽札だ。
20元札は、旧版では存在しなかったが、1999年版毛沢東紙幣から作られた。

先ず全体の写真比較。
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上が真券で下が偽札だ。偽札は全体に色が薄いのだが、誤って洗濯した紙幣はこんな風に色が薄くなることがあるので、これだけで偽札と決め付けることは出来ない。
紙幣の右下、毛沢東の肩の辺りに盲人用触覚用の突起印刷があるが、真券でも古くなると突起の感触が良く分からない。でもなんとなく突起印刷の痕跡を感じるような気がするのに対して、偽札は全く感触がない。

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例によって、透かし部分の比較だが、両方とも透かし(ハスの花?)がある。あるにはあるのだが、下の方はなんかはっきりしない。でも、これで偽札と決め付けるのもどうかと思う。

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毛沢東紙幣には、蛍光印刷が施されており、紫外線ランプを照射すると金額が光ることになっている。これは真券の写真だが、偽札は全く光らなかった。これで偽札と断定することができた。

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印刷精度がはっきり見える「国章」部分はというと、この有様だ。
下の偽札がピンボケのように写っているが、ピンボケではなく、印刷そのものがボケているのだから仕方がない。

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肖像画の目の部分もご覧の通り、線がつぶれてしまってボケている。

まことに犯罪効率の悪い、20元偽札の存在を証明できたかな。

偽札分析 農夫10元札

大規模な印刷機を動かして、リスクの高い偽札犯罪を決行するに当たって、価値の低い10元札を選んだ根拠が分からない。
多くの人の手を通して、たまたまオレの手元に回ってきた農夫10元札の偽札だ。

10元の偽札など本当にあるのかと疑っているあなた。以下の写真を見てください。紛れもなく偽札です。

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紙幣の全体写真。上が真券、下が偽札だが、この段階では真券と偽札の区別がつかない。
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どこの国でもそうだが、偽札の最初のチェックポイントは、透かしの有無、出来不出来だ。下の紙幣には透かしがないので、一発で偽札と分かる。
盲人の触覚のために4つの黒い点が、突起印刷されているが、使い込まれたお札では突起具合が分からない。新札ならオレでも分かる。偽札は、突起印刷がされていない。

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中国偽札では、国章の印刷精度をチェックすると分かることが多い。
左が真券、右が偽札。

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更に拡大して天安門部分をみると、粗さが一目瞭然だ。

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次の偽札チェックポイントは、肖像画の目だ。
上が真券で下が偽札。真券の方もあまり綺麗ではないが、比較すれば偽札の粗さがよく分かる。

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瞳の部分を拡大してみると、こんな感じで、線と言うよりもドットの集合体だ。

中国の偽札

中国では、信じられないほど、偽札が横行している。
スーパーのレジには、紫外線照射器が設置されており、50元、100元札を支払うと必ずチェックするし、一般の小売店では、手触りや透かしを確認するのが当たり前になっているので、
「オレが偽札を渡したとでも言うのか」などと怒ってはいけない。
この事典でも、過去に100元偽札分析を2回書いている。
100元偽札分析報告書
偽者の目は濁っている
今回オレが帰国するときに、これとは別に5枚の偽札を持ち帰ってきた。勿論自分で作った訳ではなく、ババを引かされた友人から譲ってもらったものだ。。
しかも全部違う種類のお札なのだから、偽札の横行振りが分かろうというものだ。
毛沢東100元札(1999年版)、毛沢東50元札(1999年版)と(2005年版)、毛沢東20元札(1999年版)、農夫10元札の5種類だ。
今後、1種類ずつ詳細を紹介していく。

もし日本で偽札を発見したら、すぐに警察に連絡して、使った人を逃がさないようにとか大騒ぎになってしまうところだが、中国では、騒ぎなどにはならず
「これ、偽札だから使えません」と、突っ返されるだけだ。
返された方は、
「これって偽札か、仕方ないな、暗い夜店で使っちゃうか」てなもんだ。
何回使おうとしても突っ返されると、
「ババをひいいちゃった」と、観念するしかない。
この辺の感覚は、日本では到底信じられないところだ。

海賊版DVDや偽ブランド商品については、海賊版を止められない訳の記事にオレの見方を書いたように、突然止められない理由が分かるような気がするのだが、偽札については、その存在理由が分からない。
どうして中国警察は、偽札撲滅をしないのだろうか?

偽札作りは、製造設備が大掛かりになること、発覚したときの罪が重いことから、誘拐と並んで最も効率の悪い犯罪だと言われている。 それなのに、100元札ならまだしも労力の割りに価値が低い10元札の偽札を作る奴等の考えが分からない。 オレは目にしたことがないが1元の偽札もあると言う噂だ。

中国の紙幣

水澄さんとpapa_38さんから「中国紙幣に関する」コメントがあったので、オレの手持ちの紙幣を整理しておく。

まず、毛沢東の紙幣だが、上から、100元札、50元札、20元札、10元札、5元札、1元札の6種類だ。一番大きな100元札の寸法が155mm×77mm、小さな1元札が130mm×63mmだ。(1mm未満切捨て)
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毛沢東紙幣には、1999年版と2005年版の2種類がある。
上の6枚の紙幣の中で、20元札だけが1999年版で、他は全て2005年版だ。一目見て分かる違いは、新紙幣には透かし部分に気泡のような丸い粒粒が追加されたことだ。上の写真の20元紙幣だけ粒粒がないことから、1999年版(旧版)だと分かる。 2005年版新札については、2005年版100元新札の記事に詳しく書いている。
下に示した旧紙幣で存在していた2元札はなくなったが、その代わりに20元札が新設された。使用する貨幣価値が、一桁上がったということなのだろうか?

続いて、流通数は年々減少しているが、今でも使われている旧紙幣だ。
上から順に、100元、50元、10元、5元、2元、1元の順だ。
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旧100元紙幣は、手持ちがなかったので、あるサイトの画像を使わせてもらった。
手持ちの紙幣の発行年は、50元が1990年、10元と5元が1980年、2元は1980年と1990年、1元札は1996年だった。
以前は、初乗り8元のタクシーに乗ると、お釣りとしてクシャクシャの2元札を返されたものだが、最近はほとんど見かけなくなった。
これらの旧紙幣は、徐々に減少し、いずれ流通しなくなるのだろう。


1元未満の補助貨幣が「角」で、「角」の紙幣は、5角、2角、1角の3種類があるが、最近は硬貨に地位を奪われ、紙幣を見る機会はずいぶんと少なくなった。
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「角」の更に下の補助通貨単位は「分」だが、実際に市民が買い物で「分」貨幣をやり取りすることは全くない。電気代の計算とか、銀行の利息で計算上存在するだけだ。過去にはこども銀行券と揶揄された「分紙幣」が存在したが、2007年3月末を以って廃止された。現在、「分」の単位まで現金清算するなら硬貨を使うしかないが、通常は切り捨てている。

中国のコイン(硬貨)

現在中国で流通しているコインは、1元、5角、1角の3種類だ。
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まず1元コイン。
左側が1999年までの旧コインの裏表で、発行者は「中華人民共和国」と表示されている。右側が1999年以降の新コインで、発行者が「中国人民銀行」に替わっている。現在流通している1元コインの8割以上が新コインである。
中でも2002年と2005年ものがやたらに多く、この2年だけで新コインの三分の二を占める。
直径が25ミリなので、2個合わせると丁度5センチになるのを覚えておくと便利かも!
日本の500円硬貨より僅かに小さいが、コインとしては大振りなので、コインマジックに使うには丁度手頃である。

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次は5角コイン。
上と同じく、左側が旧コイン、右側が新コインで、1元コインと同様に、発行者が「中華人民共和国」から「中国人民銀行」に替わっている。

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更に、1角コイン、同じく新旧のコインがある。
1元コイン、5角コインは、デザインは変わったが、新旧とも同じ大きさであるのに対して、1角コインは新コインが小さくなった。

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殆ど流通していないが、「分」のコインもある。左から、5分、2分、1分コイン。
以前は「2分」「1分」の小さなお札があったが、2007年3月で廃止された。
100分で1元なので、1分は日本円に換算して、0.16円となる。
1角以上は、一般に流通しているが、「分」の単位は、落ちていても拾わないと言われるほど、価値がなく、一般市場で使われることは殆ど無く、最近中国に来た人では、分硬貨を見たことが無い人も多いことだろう。

コインの紹介ついでに、おまけとして、テーブルマジックというか、宴会芸を一つ披露しよう。
食事の途中で、「いかにも」という感じでトランプを持ち出したり、リングを持ち出したりするのはあまり好きじゃない。コインやお札、ハンカチなどはいつも携帯しているものなので、そういう小道具を使ったマジックが好きだ。
さて、マジックというわけでもないが、コインを2枚重ねてこんな風に持つことが出来ますか?
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ちょっと分かり難いけど、上下のコインは平面ではなく、30度ほど角度がずれている。平面でもかなり難しいのだが、集中するとたまに出来るヤツがいるので、角度をつけた方が難しさが良く分かる。写真では、1元コインを使っているが、500円硬貨でも同じように出来るはずだ。
下の答えを見る前に、実際に試してみて欲しい。
見かけほど簡単じゃないし、角度を付けろと言われたら、まず無理だろう。

回答は、「続きを読む」でごらんください。 【“中国のコイン(硬貨)”の続きを読む】

永久マッチ

例によって、道端商売(露店販売)で、永久マッチなるものを見かけたので、一つ買ってみた。2元だったか5元だったか、そんなもんだ。
スヌーピーやドラえもんがいたり、映画スターやモナリザ、世界の風景など沢山の柄がある中で、面白がって日本の悪口を書いたものを選んでみた。
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胡錦涛主席の写真を掲げ、なにやら日本の悪口を書いている。
文字が潰れていて良く分からないが、《みんなで日本をぶっ潰せ》のようなことが書いてある。
裏面には、日本の製品を買うな!
側面には、日本が謝らないなら中国から出て行け。
おそらく、2005年の半日運動が盛んな頃に作られたのだろう。
いまや、中国政府は、日中関係維持の方向に動いているので、こんな製品は作らないだろう。

それはともかく、真ん中の棒を捻って取り出して、側面で擦るとマッチのように火が着く。080202fire.jpg
これで、永久マッチというわけだ。
中には、ライターオイルが入っていて、側面が火打石になっているので、原理はオイルライターと同じことなのだ。
子どもの頃に日本でも見かけたような気がするが、もうないだろうな。

100円ライターが普及している中、実用的な価値は殆どないと思うが、ちょっと面白い。
因みに、オレはタバコを吸わないので、この撮影以後、このマッチを使うことはないだろう。
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