大連雑学事典

2008年3月までは、大連在住の総経理が現地レポート、その後は日本からの回顧録や中国語トピックス。 過去の記事は右下太字の「大連雑学事典ハンドブック」を参照してください。

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模倣工学

今日の話は、おそらくどこかで読んだ新聞記事がきっかけだと思うのだが、オレの頭の中で発展した妄想なので、半信半疑で読んでくれ。でも、書いているうちに、中国ならありそうな話だと思って、納得している自分を発見して、面白かった。

北京の著名な大学に、「模倣工学」という学問分野があるそうだ。模倣工学と言うと、一般には、生物の生体機能を真似て、新しい機能を有する、機械や情報処理方法を研究をする「生体模倣工学」あるいは「生物模倣工学」を指すが、ここでは違うのだ。販売された製品を分析して同じものを作る学問、つまり模倣工学だ。

世の中に発表された物品については、発表した瞬間から公のもので誰が作っても良い。そこで同じものが作られるかどうか、逆に言えば同じものを作らせないことが、真の技術力だと言う考え方に基づいている。

模倣工学の基本は、材料技術加工技術だ。基本的な材料と加工方法が分かれば、量産技術は別の専門分野に任せてよい。

模倣工学では、まずモデルになる製品の機能性を明らかにする。
何をしようとするものなのか? 製品の目的は何か?

可動部分があるものなら、動きを図解する。化学反応を伴うものであれば、その機序を解明する。電気を使うものであれば、最終的に電気エネルギーがどのような形で作用しているのかを見極める。最終形態は動力なのか、熱なのか、電波なのか、光、音、電磁波、磁場作用なのか?

次いで、バラバラに分解してみる。分解できなければ、切断することも止むを得ない。バラバラにした部品を並べて、材料リストを作成する。まず、大雑把に有機材料、金属、無機材料、生物材料、その他。次にそれぞれの材料を分析して、材料名を明らかにする。

次に、それぞれの材料が使われている理由を特定する。例えばガラスなら、透明性が必要なのか?硬さが必要なのか?耐溶媒性が必要なのか?耐熱性が必要なのか?安いプラスチックには置き換えられないか?

それらの材料で、部品を作る加工方法を特定する。金属なら切削加工か?鋳型で成形するか?プレス成型か?焼いて叩くか?精密冶金が必要か?エッチング?焼入れ?なまし?表面仕上げは?

こうして、解析を進めて、再現できるものは独自の技術とは言えないというのだ。特許で守って貰おうなんて邪道だ!と。
このような手順を事細かに教えて、同じものを作るのが模倣工学だ。

ここまで書き進んで、今はしがない総経理だが、元技術者としては、懐かしく思う。
特許無視は論外としても、過去に日本が歩んで来た道、そのものなのだ。大学で統一された学問としては教えてくれなかったが、欧米に追いつけ追い越せを合言葉に、こんなことを日本中の会社でやっていたはずだ。真剣に模倣を極めれば、必ずそれを超える技術が生まれるものだ。その結果として、今の日本の技術がある。

こんなやり方を、大学が学問として教えれば、もっと効率良く、短期間で、技術レベルが上がることだろう。中国の技術水準が日本に近づく速度は予想以上に速い。

そこで、日本の若手技術者に言いたい。
真似が出来ない超精密加工技術でも良い、真似が出来ない超高精度の新材料でも良い、外観から全く分からない化学反応でも良い、真の技術者なら、模倣工学の粋を極めても、真似し得ない真の技術を作れと。

さて、国慶節の休暇を利用して、今日の午後からしばらく日本に帰ります。日本では、書き溜めた記事を、毎朝定時に掲載するつもりですが、都合により、2、3日分を先にリリースすることがありそうです。ご容赦ください。
また、コメントへの応答がのろまになるでしょう。

コメント

一週間ほどですね。

連日連夜の更新、お疲れ様です。 まあ少し、ゆっくりしてください。
ARCHIVES総合計215はお見事です。 浅学非才の小生には眼から鱗の、その名もピッタリの雑学事典です。 感謝感謝。

  • 2005/09/30(金) 21:36:45 |
  • URL |
  • hexue #0gXy5ln6
  • [ 編集]

何時まで続くか?

>hexueさま
連日の書き込みありがとうございます。
浅学非才などと、とんでもありません、皆さんから教えてもらうことばかりです。
今後もよろしくお願いします。

  • 2005/10/01(土) 06:30:23 |
  • URL |
  • でっつ #m/aUcm4U
  • [ 編集]

「模倣工学」っていうのは

面白いですね。確かにこういうのがあるんじゃないかと思うほど、中国には物マネ商品、ニセブランド商品が溢れてますね。でも、でっつさんのおっしゃるのは、ニセモノ作りで金儲けしようという目先のセコい話ではなく、もっと真面目に技術を向上させるためのプロセスとして模倣を追求し、一種の学問のレベルにまで高めることで、先進国との距離を埋めようという積極的な営みだと思います。確かに日本も戦前からこういう努力を100年ほども続けてきた結果、現在の工業先進国としての位置を築いて来たわけですよね。

これで思い出しましたが、最近、中国のTVで盛んにやっていた「抗戦勝利60周年記念」のドラマの一つで、抗日戦争中の八路軍の兵工廠(兵器工場)の場面が出てきました。これは蒋介石の重慶政府からも武器の支給が受けられなくなり、武器も自給自足しなければならない状況の中で、山中の洞窟を工場にして、ある時は日本軍の攻撃を避けるため、機械をバラして馬車や人力で移動しながら、生産を続けるわけですが、その中で、日本軍から捕獲して来たた兵器を分解して、文字通りの「模倣工学」をやるわけです。最初は小銃弾や手榴弾などの簡単な武器の製造から始まって、粗末な条件の中で最後にはドイツのモーゼル歩兵銃のコピーや迫撃砲まで造るようになったそうです。こんなところに中国の「模倣工学」の原点があったわけですね。そして原料の良質鋼材は、日本軍が敷設した鉄道から引っ剥がしてきたレールだったというんですから、まったく大したものです。でも、今の中国でまだこういう精神が生きているかと言うと、どうなんでしょうかね?

同定という言葉がある、童貞ではありません。あるものの分析をして、別のあるものと同じと決め付けることです。あるものを調べつくし、「同定」できるように分析しつくしたからできるのです。同定は模倣と同じだが別の角度から言ったことば。模倣は一般には悪く言われるが文明の基礎と言いましょうか牽引車と言うか、これなしに文明はありえなかった。あいつは何だかわからないが二本足で立っている、オレもやってみよう。何!あいつは火を作った、オレもやってみよう。こんなくりかえしだったのではないか。今日はビールを飲みすぎた・・・ でっつさん失礼しました。

  • 2005/10/01(土) 19:57:23 |
  • URL |
  • はくらくてん #-
  • [ 編集]

物まねと特許

模倣のことを色々考えていたら、特許のことや、物まね芸人や、スポーツのことなどたくさんの疑問が出てきました。
少し整理してから、記事にしてみたいと思います。

  • 2005/10/02(日) 09:18:05 |
  • URL |
  • でっつ #m/aUcm4U
  • [ 編集]

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