大連雑学事典

2008年3月までは、大連在住の総経理が現地レポート、その後は日本からの回顧録や中国語トピックス。 過去の記事は右下太字の「大連雑学事典ハンドブック」を参照してください。

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上海リニアの速度データ

6日紹介した上海のリニアモーターカーに初めて乗ったのは、2004年7月だったが、その時は速い速いと感激していただけだが、2度3度と乗っていると、元エンジニアの血が騒ぎだす。

最高速度は430kmと言うけど、平均速度はどのくらいなんだ?
最高速度で走っている時間は、7分間の内どのくらいなのだろうか?
加速性能は、新幹線や飛行機と比べてどうなのか?

せっかく車両の中に速度計が表示されているのだからと、腕時計のストップウォッチを使ってデータを取った。その結果が、下のグラフだ。
liniarsp.jpg

スタートから直線的に加速し、210秒(3分半)で最高速度に達する。最高速度の時速430kmで走っているのは、全体440秒の中の僅か57秒(走行時間の13%)に過ぎない。まもなく、直線的に速度を落とす。減速時間は、173秒(約3分)で、加速よりも幾分か速い。

このグラフを積分すると、走行距離が出てくる、丁度30kmだ。公式データによれば、29.863kmなのでほぼ正確だと言える。走行距離を所用時間で割ると平均速度が出る。計算値は時速245kmとなった。

このグラフを眺めているだけでは、走行時間の90%近くを加速と減速に使っているくらいのことしか分からないが、もう少しいじってみよう。

このグラフから加速性能を計算してみると、
ゼロヨンが37.5秒でそのときの速度が時速77km、
0→100km/h加速が49秒。
電車に使われる表示で表すと加速性能は、2.0km/h/秒であり、
G加速度に換算すると、およそ0.05Gになる。


 *)ゼロヨン:スタートから400メートルを通過するまでの時間(秒数)
 *)0→100(ゼロ百):スタートから時速100kmに達するまでの時間(秒数)
 *)km/h/秒:電車の加速性能表示に使われる。例えば2km/h/秒なら、60秒後に120km/hになる。
 *)G加速度:重力の加速度(9.8m/秒^2)を1Gとした加速度の単位。

ゼロヨンよりもゼロ百の方が大きいなんて、自動車の加速性能では考えられないトロさだ。

これは他の乗り物と比べてみるとどうだろうか?

まず、新幹線だ。
現状の700系のぞみが時速100kmまでは、2.0km/h/秒なので、スタート加速は上海リニアと同じだが、時速100km辺りから追い越されることになる。
スタート時の加速性能は、現在の新幹線と同等と言うことが分かった。

次は、2007年営業運転を目指す次世代新幹線N700系は、スタート時の加速性能は、2.6km/h/秒で、時速270kmまで、180秒で到達するのとのデータがある。
これから推測すると、0→100km/hは、38秒ゼロヨンは33.3秒となる。つまりゼロ百、およびゼロヨン共に次世代新幹線の方が速いが、その後上海リニアに追い越される。最高速度が速いのだからどこかで追い越されるのは当たり前だが、発進加速は次世代新幹線の方が若干速い、だけど体感できるほどではない。

意外なのは、山手線の電車(2002年から採用の500番台)だ。スタートダッシュは、3.0km/hr/秒と、新幹線や上海リニアよりも加速性能は良いのだ。ただし最高速度は低い。

ゼロヨン加速性能は一般に、自動車、オートバイに用いられる。市販のオートバイで750ccクラスなら12秒台、レース用のオートバイなら10秒を切ることも可能だ。市販の四輪自動車ではポルシェが14秒台だ。本題には関係ないけど、オレは若い頃はナナハン・ライダーだったんだ。本当に若い頃は金が無かったので30歳代のことだが、カワサキのNinjaに跨って、街中ではしょっちゅうスピード違反で捕まっていたものだ(^凹^)ガハハ!!
これに対して、上海リニアは、37秒もかかっているので、自動車やオートバイと比べると加速感は、全く感じられない。ゼロヨン通過時点の速度が時速77kmと100kmに達していないのも、自動車の常識から考えられないほど遅い。

もっとも、あまり加速性能を良くすると、紙コップに入れた飲料がこぼれるので、公共交通機関としては好ましくないのかも知れない。

話を戻して、飛行機と比べたらどうだろうか?
ジャンボジェット機の離陸時の加速度は、およそ0.3Gだ。上海リニアのG加速度は、計算上0.05Gなので、当たり前だが加速性能はジェット旅客機の6分の1と比較にならないほど遅いので、シートに背中を押し付けられるような感覚は全くない。

減速にも、加速と同じくらいの時間をかけているが、こいつも著しくトロいと言わざるを得ない。減速に使っている距離は10kmに及ぶ。良く分からんけど、磁気浮上式リニアモーターカーと言うのは、浮上と言うくらいだから浮かんでいるんだろうな。と言うことは、レールとの摩擦によるブレーキは使えないことになる。じゃぁ、どうやって減速するかというと、恐らく逆方向の磁力を加えるんだろうな。リニアカーの研究テーマとしては、空力ブレーキとか滑走シューブレーキとかあるらしいが、この電車にはついているのだろうか?

人間はプラスのGよりもマイナスのGに敏感なので、ブレーキ性能を良くしすぎると、前につんのめるからシートベルトが必要になる。だけど上海リニアでは、シートベルトは要求されていない。

2003年10月に一般公開されたときには、3日間で7000人も押しかけたそうだが、実用交通手段としては、さっぱり人気がなく、毎年の利息が3億元に対して、旅客運賃収入が1.5億円という壮大な無駄使いプロジェクトだから、せいぜい色々データをとって遊ぼう!

最新のニュースによれば、2010年の上海万博までに、上海から杭州まで200kmのリニアが開通するらしい。200kmとなれば、前後の加速減速に20km取られても、平均速度は、430kmに限りなく近づくことだろう。計画ではおよそ30分の走行なので、平均時速400kmになるはずだ。そうなれば、料金次第ではあるが、イベント乗車ではなく、実用交通手段として利用する人も増えることだろう。

理屈っぽい数字ばっかりで、関心のない人にとっては、あくびが出るような話だったが、リニアモーターカーの車中で計ったストップウォッチのデータで遊んでみた。

コメント

すごい!

上海リニアの加減速に関してグラフまで駆使して解説したサイトって世界でも稀じゃないですか?もしあったとしてもドイツあたりの学術論文か日本の鉄ちゃん関連のマニアックなHPくらいでしょう。え、中国はって?大丈夫こんなマメなことに関心をもつような人ほとんどいませんから^^>(←べつに馬鹿にしてるわけじゃぁありません。国民性の違い、という意味です。)
さて、でっつさんの解説に付け加えることはなにもないので、しょうもない個人的感想を述べますと、僕自身中国がリニアに力を入れるのは大歓迎ですし、今後の高速中長距離鉄道も極力リニア方式で作ってもらいたいですね。技術って、先に発達した国がいつの間にか後進国になったり(たとえば、磁気カードを先に導入した日本よりも韓国、中国あたりのほうがICカード乗車券化が進みやすい、というような例)ということもありますので、中国には蒸気機関車がつい最近まで走っていた状況から4階級特進(蒸気→ディーゼル→電車→新幹線→リニア)で一気にリニア時代に突入してもらいたいものです。

  • 2006/03/09(木) 14:54:25 |
  • URL |
  • BEO #-
  • [ 編集]

今日もおもしろかったのでプチッと押しときますね。(^ー^)

  • 2006/03/09(木) 16:32:33 |
  • URL |
  • リュウジ #-
  • [ 編集]

上海リニアの加速度分析は初めてです。『鉄道ジャーナル』でも、紹介記事はは見かけましたが、それ以上ではありません。投稿をおすすめします
ところで、上海・杭州間をリニアとのことですが、高速鉄道の利用価値の「北京と上海間に新幹線は必要なのか」でも明瞭ですが、その高建設を 考えると、「上海リニアモーターカーは何のために建設したか」のいううように、採算性に疑問無しともいえます。むしろ、現鉄道との相互乗り入れなどを思うと車輪方式の方がいいかなとも思います。その場合は、現在の日中の状況から見て、欧州から導入となるでしょう。でも、鉄道部長が上海・北京間を国産技術でと言っていますから、どうなることか。これは、現在の実績から見て、かなり無謀ではないでしょうか。見物です。

  • 2006/03/09(木) 23:07:49 |
  • URL |
  • KM #NscJhb76
  • [ 編集]

鉄道ジャーナル

>KMさん、
過分な評価ありがとうございます。しかし、私は鉄道に特別に関心があるわけでもなく、「鉄道ジャーナル」も見たことがありません。必要なら個々の数値も公開しますから、代わりに投稿してください。
北京-天津はドイツ技術で決まったとか聞いています。
でも、上海-北京のドル箱、過密路線は、絶対日本の新幹線だと思います。
何よりも過密ダイヤと安全性のコントロール実績が武器です。更に建設費、360kmまでの高速対応など。最後の最後には、中国は実利を求めて、日本の新幹線を採用すると、私は思っているのですが、どうなりますか?

  • 2006/03/10(金) 08:32:52 |
  • URL |
  • でっつ #m/aUcm4U
  • [ 編集]

新幹線

http://www.nikkei.co.jp/news/main/im20060303NN000Y35803032006.html
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20060308ib24.htm
またもや引用で恐縮ですが、↑の2つのニュースから分かることは「中国で新幹線車両が走る、でもそれは新幹線ではなく在来線である」ということです。
どういうことかというと中国は国際標準軌を在来線で採用しているので、理屈でいえば日本の新幹線がそのまま(といってもいろいろ電気関係の整備は必要ですが・・・)中国の在来線で走ることが出来るわけです。在来線と言っても最高速度200㌔程度出せるものなので、日本で言えば「はやて」と「こまち(在来線区間)」の中間のようなものなのでしょう。
それに対して、新規に建設する「高速鉄道」というのはこれこそ日本で言う「新幹線」のような旅客専用別線(おそらく全線OR大部分を高架化)でして、これについて日本の新幹線技術はおそらく導入されず、ドイツのICEあたりにお知恵を拝借、となるか、中国独力で開発しようということになるのでしょう。
日本の新幹線だって上越地震で脱線したり、阪神大震災で大被害を受けたりしながら「たまたま」死人が出なかっただけで100%安全とはいえませんが、ICEやTGVよりは安全度が高いように思うのですが・・・。少なくとも小泉総理やその周辺の人々が「靖国」などの問題で譲歩しない限り中国が新幹線方式を飲むことはないでしょうね。
以上、すべて素人考えでした。

  • 2006/03/10(金) 15:43:56 |
  • URL |
  • BEO #-
  • [ 編集]

最近の2つの

上海リニアモーターカーの記事は、いつもにも増して読み応えがありましたよ。
この手の技術関係物は、素人で良く判らない部分も多いのですが、けっこう興味はあるんですよね。「走る巨大モニュメント」とはよく言ったもので、俺なんかは「虚栄の象徴」なんて意地の悪い見方をしちゃいますね(笑)。
リンクされてた聶輝華氏の文章も実に正鵠を得ていますね。最後の一節なんか、今回の全人代あたりで言ってやったら良いんじゃないか。

ところで、中国版新幹線「高速鉄路」の件ですが、俺もでっつさんと同じく、最終的には日本の新幹線技術の採用の可能性がかなり高いと思います。中国の鉄道関係者の間では、かなり詳細な比較検討が行なわれていて、日本の新幹線技術の評価は格段に高いらしいです。実際にも、水面下では中国の鉄道関係の輸入商社と日本の関係者の商談が、すでにかなり進んでいるという話もあるようです。BEOさんが言うような問題が無いわけではありませんが、中国の「反対論」と言っても一部のネット右翼(中国の)あたりから出ているだけで、胡錦涛らの中央としては本音のところはやはり「政経分離」ですし、現場技術関係者の意見を尊重することになるんだろうと思います。

硬い話を柔らかく

エンジニアリングには門外漢なので、違った切り口でコメントを。

昨日、同僚5人組が2泊3日の上海旅行から帰ってきた。
リニアモーターカーの感想は、横揺れも殆んど感じなかったし、スピードは431km/h以上は出なかったそうで、他の車両は知らないが30人くらいは乗客が乗っていたそうだ。 スピードから比較すれば新幹線より快適な乗り物かもしれないし、話の種としては料金も高すぎない?と言う感想だった。

硬い話を柔らかく、の話は以下のようだった。
5人組のいずれもが海外旅行30回以上のつわもので、リーダーは100回超のベテラン、全員が日本語以外の語学にはからっきし不得手だが、金と押しの強さで行動する典型的な日本人観光団で、不思議とトラブルが一度も無い強運を備えているのだ。

案内されたレストランでたらふく料理を食べて、胃薬を飲むのにミネラルウォーターを注文し、あとで伝票を確認したら何と56元。 しこたま飲んでトイレに行ったら入り口で前金で5元と言われ、床が水浸しで危うく滑りそうになった。 出口で「ちゃんと拭いとけよ」と怒鳴ったそうな。

ツアーに便乗してきた写真屋に「写真ができました」と10枚セットのアルバムを見せられ、「いくら?」と聞くと「1000円」と言われ、1000円出すと「全部で10000円」だと言ったので、それぞれが自分の気に入った一枚だけを買った。 「エエ加減にせえよ」と捨て台詞を吐いたそうな。

ニセモノ時計を売り付けるのが非常にしつこいそうだ。 2人は本物のロレックスを付けていたのでおもむろに見せると、「それも偽物か?」と言われて激怒したそうな。 汚いオバサンが「お茶を飲みませんか?」と日本語で話しかけて来たり、誰もが何かと財布の紐を開けようとさせる。 
旅行に行く前に、要らない時は「プーヤウ」と言うように言っておいたので、滞在中はその単語を連発したそうで、中には睨み返す者もいたとか。 彼ら兵どもは「プーヨン」くらいじゃ引き下がらないと聞いていたもので。 「不要」は少々きついニュアンスなのですかね?

日本円に再両替の時にはキリの良い金額にピンはねされていたり、ガイドはしたたかに金を使わそうと画策し、タクシーの運転手は荒い運転をし、彼らの結論は、「中国っていうのはアバウトで、油断も隙も無い、無秩序この上ない」であった。 一理はあるような珍道中の報告でした。


  • 2006/03/10(金) 21:49:01 |
  • URL |
  • hexue #0gXy5ln6
  • [ 編集]

上海のリニアって加速性能わるかったんですね。新幹線よりは加速性能好さそうだったので意外に感じました。

  • 2008/12/06(土) 14:12:06 |
  • URL |
  • ななし #-
  • [ 編集]

上海リニア

>ななしさん、こんにちは。
上海リニアに限らず、新幹線と最高速度を競ったTGVなんかも、加速性能は良くないみたいですよ。
まっすぐな線路を突っ走るだけならエンジニアの力で何とかなるのでしょうが、新幹線のすごさは、こだま型各駅停車と、ひかり型中途半端と、のぞみ型高速列車が、同じ線路の上を、5分刻み(ラッシュ時は3分刻み)で走らせる制御技術だと思います。

  • 2008/12/07(日) 21:18:15 |
  • URL |
  • でっつ #m/aUcm4U
  • [ 編集]

JR式マグレブの加速性能は0.15Gだそうです。

本当は0.3Gで加速できるそうですが、お年寄りや子供が通路に立ったままだと危険なので半分にしているという話を聞いたことがあります。

  • 2009/12/12(土) 18:07:49 |
  • URL |
  • つっちゃ #uznIMyWk
  • [ 編集]

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