大連雑学事典

2008年3月までは、大連在住の総経理が現地レポート、その後は日本からの回顧録や中国語トピックス。 過去の記事は右下太字の「大連雑学事典ハンドブック」を参照してください。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

簡体字解体新書1(日本語は簡体字だった)

前回の「簡体字解体新書0」で、書いたように、漢字簡略化の歴史を調べてみると、日本では中国よりも5年ほど早く簡略化した漢字を使い始めた。

「簡体字」というと、
「中国では、変に簡略化した字を使っているから読めやしないよ」
と言う日本人がいるだろうが、台湾や香港の人に言わせれば、
「日本の漢字って、変な略字や俗字が多くて読めやしないよ」
と言うことになるのだ。

日本では、「簡体字」という単語を使っていないが、漢字簡略化の考え方は、日本も中国も同じなんだ。日本では、「旧字体」、「新字体」と呼んでいるが、「簡体字」と言ってもおかしくない。
そうは言っても、「簡体字」は中国文字の名前になっているのだから、日本語を「簡体字」と呼ぶのは間違いなのだが。


漢字簡略化の手法は、大別して二つある。
1、漢字の数を減らす。
2、画数を減らす。

1、漢字の数を減らす。
漢字の数を減らすためには、めんどくさい字は使わないようにしようと言うことだ。
日本では、当用漢字を決めて、それ以外は「ひらがな」にしようということになるのだが、中国には「ひらがな」がないのだからそうは行かない。
そこで、同じ音や同じ意味の漢字をまとめてしまって、簡単な字に統一する。
例えば 「麺」の字を廃止して、「面」で代替する。
同様に、「後」の字は、同じ発音の「后」で代用する。 
「骨粗」→「骨粗
あるいは、「發」と「髪」をまとめて同じ字にしてしまった。
「幹」と「乾」は廃止して「」に統一した。
だから「新幹線」は「新線」だし、「会社幹部」は「会社部」、「乾燥機」は「燥機」となる。
ただし「乾」の字はqian2と読む場合のみ、残されている。

2、画数を減らす。
画数を減らす手法としては
1、草書体の要素を取り入れて、画数を減らす。(書、長など)
2、字形の一部を残して、代表的な部品で字を表現する。(広とか飛など)
3、字形の一部を残して更に変形して形を整える。(奪、墾など)
4、偏や旁を置き換える。
5、画数の少ない古字や俗字に置き換える。(涙⇒泪)

こうして、同じような手法で簡略化された字を眺めていると、参考にしたのか、たまたま偶然なのか分からないが、日中で同じ形になった字が結構たくさんあるのだ。
ある研究<日本・中国・台湾・香港の4地域を対照比較した基礎漢字字形一覧表>によれば、日本の常用漢字1945字の中から、日本の国字「込、働、峠、畑、塀、匁、枠」7字と中国で馴染みの薄い「扱・机」2字を除外して、残り1936字を調べたところ、日中で字形が一致したのは、1165字(60%)だった。なんと、日本字の6割は中国漢字と同じだったのだ。
更に「徳」(中国字は「心」の上に横棒が1本入る)とか、「圧」(中国字は右側に点がつく)、「兎」と「兔」のように僅かな違いの字を含めると、読める字は更に増える。
しかし、中国語を学ぶときには、これが思わぬ落とし穴になって間違えたまま覚えてしまうのだが。
読めるけどなんかちょっと違うぞ!←参考にしてね。

日本の常用漢字の60%が読めても、その他に、中国には日本で使っていない漢字がたくさんあるから、すらすら読めるわけではない。

さて、以下は、日中で共通の簡略化をした字の一部だが、旧字体(正字)→新字体(簡略字)の関係を知っている人がどれほどいるだろうか?

部品の一部を残す。
號→号、聲→声、醫→医、
「號」の本来の意味は、虎が内に秘めた気が口からあふれ出てくることから、悲しみのために泣き叫ぶということ。略字の「号」にしてしまうと、全然雰囲気が違ってくる。熟語としては「号泣」や「号哭」が残っている。
餘→余、獨→独、
「餘」は食偏があることから、食べ物の残り物を示す字だったのだが、食偏を取ってしまうとなんだか分からない。

部品を簡単にする。
戀→恋、灣→湾、亂→乱、辭→辞、

學→学、覺→覚、擔→担、膽→胆、

淺→浅、殘→残、錢→銭
(厳密には金偏が違うし、中国字は横棒が1本少ない)、

斷→断、繼→継、裝→装、壯→壮、

區→区、歐→欧、


何となく元の字から連想できる。
麥→麦、參→参、蠶→蚕、寶→宝、

黨→党、國→国、會→会、爐→炉、

竊→窃、濕→湿、屬→属、數→数、

譽→誉、禮→礼、鐵→鉄
(厳密には金偏が違う)

寫→写(中国簡体字では横棒が突き出ない)

元の字から想像できない形。
體→体、當→当、盡→尽、壽→寿、

萬→万、臺→台、


こうしてみると、日中共通の簡略字って結構あるんだなぁ。
戦後生まれの世代では、上述の「旧字体」(正字)が読めないどころか、存在すら知らない人も多いことだろう。って、オレもその一人なのだが。

次回は、まるでクイズのような、字体の一部を取り出して、元の字を連想させる中国簡体字の面白いパターンを紹介する。

コメント

「簡体字」というと

ぴったり当てはまることがある。

香港から電車に45分ほど乗って中国・深圳に行く。
香港出境のイミグレーションまでは見慣れた繁体字だが、スルーして国境中間線を超えると、目前の中国側イミグレーション付近から眼にする字体は一変する。 簡体字の世界だ。 「あゝ、中国に来た!」と思う瞬間で、なぜか何度訪れても不思議と身が引き締まるのだ。

「仲間はずれの日本字体」 「中国語朋友」 「漢字の世界2」などの記述には面白いものがある。 時間があれば参照してください。

  • 2007/09/07(金) 00:02:08 |
  • URL |
  • hexue #0gXy5ln6
  • [ 編集]

でっつさん

いつも感心して拝見しております。
ここの訪れる人は皆博学な人ばかりですね。
いつも何気なく使っている漢字でも、このようにして考えてみると
『う~ん、なるほど』
と思わずにいられません。
今、中国語を少しでも覚えようとしていますが、なかなか覚えられません。
簡単な中国語の勉強として本とCDを持っています。
CDはいつもPCにセットしていますが、仕事から帰ってビールを飲んで
・・・・・・・・・・いつのまにかZzzzzzzzzz
この毎日の繰り返しです。
今度大連に行く日は10月か11月と考えていますが、
それまでに覚える自信がありません。
相変わらず、『イ尓好・謝謝・対不起・好吃』で終ってしまいそうです(汗)
心の中で、(日本語も出来ないのに何が中国語だ~!、バカヤロー!)
と叫んでいる自分がいます。(笑)

  • 2007/09/07(金) 09:08:47 |
  • URL |
  • こうちゃん #-
  • [ 編集]

川柳

>こうちゃん
こんな川柳があります。
「イ尓好と謝謝だけでまる五年」ってね。
対不起と好吃が増えている分だけ、こうちゃんの方がマシですね。

  • 2007/09/10(月) 07:25:51 |
  • URL |
  • でっつ #-
  • [ 編集]

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://huaihua.blog5.fc2.com/tb.php/652-f5e4ce10
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。