大連雑学事典

2008年3月までは、大連在住の総経理が現地レポート、その後は日本からの回顧録や中国語トピックス。 過去の記事は右下太字の「大連雑学事典ハンドブック」を参照してください。

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追悼の辞

きのう、テニスの友人が死んだ。

当日もテニスコートを走り回って、元気いっぱいで健康そのものイメージのおっさんだった。
我々の仲間がみんな死に絶えても、一人だけ最後まで生き残る人だと思っていた。

心筋梗塞だったらしい。 62歳だった。

夏になると朝6時前から夜7時までテニスコートにいる、他にやることはないのか。
赤い帽子に赤いシャツがトレードマークでテニスコートの人気者だった。
「毎日同じシャツを着てると思うとったらちゃうでぇ、ちゃんと洗濯しとるがな、奥さんが」
関西弁だった。

初めて会ったのは、もう25年も前になるかな、町の初心者テニス教室の生徒としてだった。
とにかく、前に出て、でしゃばる変なおっさんだと思った。
「次はバックハンドストロークの練習をします、2列に並んでください」
コーチが言うと、いつも列の先頭にいた。
しかもへたくそだった。 コーチが指示した方向へ飛んだボールは一球もない。 
「あかんなぁ」
声が大きかった。 しかも変な関西弁だった。

こんなへたくそなおっさんは、すぐにテニスを止めると思っていた。
でもおっさんのずうずうしさは、筋金入りだった。へたくそなくせになかなか止めなかった。
「あんた、うまいなぁ、前からやっとったんちゃう?」
妙に馴れ馴れしく、誰にでも話しかけてくるおっさんだった。

このときは、この後20年以上も付き合い、一番の友人になるとは思っていなかった。
テニス教室期間が終了したあとで、おっさん達がテニスチームを作った。
参加者のイニシャルを集めてカッツという名を付けた。
このチームに入れてもらった。
ここから、おっさんとの本当の付き合いが始まった。

テニスコートにいる時間が誰よりも長いので、だんだんとテニスコートの主になった。
誰にでも気さくに声をかけた、特にはじめて参加した若い女の子には必ず声をかけた。
「さぁ、頑張ろうぜベイビイ」
やたらにハイテンションなおっさんだった。

さすがに20年もテニスを続けると、結構うまくなった。
最初はオレの方が圧倒的にうまかったが、途中で追い越された。
運動量も練習量もオレより10倍くらい多いから当たり前だ。

女性連中が、差し入れのスイカなんかを持ってくると、真っ先に手を伸ばして食った。
「うまいぜ、ベイビイ」
お礼も忘れなかった。
「次、女の子、試合どうぞ」
女性には年齢制限なしに女の子と呼びかけた。
おっさんならではの気遣いだったと思う。

おっさんは、ずうずうしいだけではなく、意外とまじめな人だった。
日が暮れて、最後にコート整備をしてラインを掃くのはいつもおっさんの役目になった。
自走式ローラーがまだなかった頃、重いローラーを引っ張っている姿が瞼に残っている。
雨が上がった直後には最初にコートに現れて、コートに残った水溜りからスポンジで水を吸い出している。
霜の季節になると、塩カルを撒く作業の指揮をとり、自らも袋を担いで先頭に立って動いた。

なかなかやり手がいないテニス協会の役員を引き受けてくれた。
大会の運営には、日程計画から、ドロー表、当日の進行まで、何でも面倒見てくれた。
最近では、ずっと町のテニス協会会長に祭り上げられていた。

テニスコートに行くと必ず赤シャツのおっさんがいた。
テニスコートの景色の一部となっていた。
テニスコートで赤シャツを見ると安心した。
日に焼けた真っ黒な顔に会いたくてテニスコートに通った。

もう10年以上前のことだが、50歳の誕生日が過ぎたとき、言った言葉は、
「ワシもとうとう四捨五入するとキンさんギンさんと同じになってしもた」
おっさんは、キンさんギンさんと同じように100歳を超えて長生きすると信じていた。
全人類が滅びても、おっさんは最後の一人になっても生き延びる人だと思っていた。
タバコは吸わないし、土日休日は朝から晩までテニスコートを走り回り運動量は平均的な中年オヤジの100倍くらい多いはずだ。
テニスができない雨の日は、自宅で腕立てや筋トレをする根っからのスポーツマンだった。
デブでもなく絞られた筋肉質の体型で、成人病とは縁がない人だと思っていた。

でも、突然死んだ。

長いサラリーマン生活も定年を迎えて、悠々自適なテニス生活が続くはずだった。
悠々自適はわずか2年で突然終わった。
年金ももらっていないのではないか。払った分返せ!きっとそう言うおっさんだ。

午前中テニスをしていて、ちょっと気分が悪いと、車の中で休んでいたそうだ。
しばらくして、様子がおかしいからと、仲間が救急車を呼んで病院に運んだが、間に合わなかった。
長い時間苦しまなかったことが、せめてもの救いかもしれない。
平均寿命よりかなり早いが、大好きなテニスをして、テニスコートに倒れた、幸せな逝き方かもしれない。
せめて、そう考えることにしよう。

おっさん、安らかに。
と言うのは、おっさんには似合わない。 あの世でも
「明るく、楽しくやろうぜベイビイ!」

合掌!!

コメント

お悔やみ申し上げます

合掌

  • 2009/03/08(日) 02:37:36 |
  • URL |
  • 青云 #-
  • [ 編集]

葬儀に行ってきました

やっぱり寂しいですね。

  • 2009/03/08(日) 20:15:15 |
  • URL |
  • でっつ #m/aUcm4U
  • [ 編集]

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