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大連雑学事典

2008年3月までは、大連在住の総経理が現地レポート、その後は日本からの回顧録や中国語トピックス。 過去の記事は右下太字の「大連雑学事典ハンドブック」を参照してください。

タクシー代を値上げしてやればぁ

4年ぶりに大連に行って思ったことの一つは、『タクシー代を値上げしてやれよ』ということだった。
よそ者がでしゃばって、勝手なことを言うなと言う勿れ、ちゃんと理由があるのだから。

詳しいデータはないが、直感的に、感じたのが次の二点。
(1)タクシー運転手のマナーが悪くなった
(2)流しのタクシーの数が減った。

大連空港から開発区の中心部までのメーターは、60元からせいぜい70元だ。
4年前までは、メーターで清算するタクシーが普通だった。
ところが、今回空港から乗ったタクシーはこんな具合だった。

空港の国際線到着ロビーを出たが、タクシー乗り場が分からない。
怪しげな男が近づいてきて、日本人と見るや『たぐし、たぐし』と声をかけてくる。
こんな、白タクまがいの怪しいやつを相手にしてはいけないと、2人ばかり無視したが、他に車も見当たらないので、3人目の呼びかけに応えた。当方は、中国語で喧嘩が出来る大先輩とわたしの二人連れだ。大先輩が、中国語で交渉を始めた。
「開発区まで幾らだい?」
「開発区はのどこだ?」 と運転手。
「中心部の△□ホテルだ」
「それなら120元だ」
「高いから止めた、乗らない」 と、大先輩。
「分かった、分かった、安くするよ、幾らなら良いのか?」
「100元だ」
「100元だって! せめて110元にならないか」 未練がましい運転手。
「じゃ、別の車を探すからいらない」 あくまで強気の大先輩。
「しょうがねぇな、100元でいいよ」
車は白タクではなく、タクシーの塗装をした正式な車で、メーターも運転手の許可証もついている正式なタクシーだ。
こうして、トランクに荷物を積み込んで、我々二人が後部座席に乗り込んだ。 すると空いている助手席を見つめていた運転手が言った。
「もう一人、探してくるから、ちょっと待ってくれ」
 相乗り客を探そうという魂胆だ。
「冗談じゃない、我々は急いでいるんだ、すぐに出ないなら、降りるぞ」 と大先輩は譲らない。(急いでいたかどうかは知らないが)
「すぐ戻ってくるから」 あくまでも未練たらたらの運転手。
「ダメだ、じゃ、ここで降りる」 と大先輩が脅す。
仕方なく、運転手があきらめて、空港の駐車場を出て、開発区方面に走り出した。と、思ったとたんにいきなりユーターンした。仲間のタクシーに横付けして、
「おい、開発区に行くなら、後ろの二人を引き取ってくれねぇか。100元なんだけど。おれは別の客を探すから」
「ああ、良いよ」 仲間の運転手は気軽に引き受けた。
「お客さん、あっちの車に乗り換えてくれ」
「ふざけるな、お前が100元で行くと言ったから、我々は乗ったんだ。乗り換えなんか出来ない」
「ちょっとだけじゃないか、荷物は移すからさ」
「絶対ダメだ、無茶を言うと、このまま警察に行くぞ。コノヤロ」 大先輩は、一歩も引かず運転手の背中を小突く。
大先輩の迫力に負けた運転手は、しぶしぶ、開発区に向けて走り出したが、その運転振りのむちゃくちゃと言ったら、とんでもない神風タクシー(日本ではもはや死語だが)だった。
(こいつは必ず事故を起こす。その日が今日でないことを祈る) そんな心境の30分間だった。
なんとか、事故を起こさずにホテルに着いて、大先輩が100元の約束に色をつけて110元を支払った。
(これはこれは、思いがけずどうもどうも)と感謝の言葉が出るかと思ったが、出たのは悪態だった。
「なんだよ、110元か。120元くれよ」 と運転手は納得していない。
せっかくの好意の10元を無視された大先輩は、憮然としていた。

4日後の帰りは、ホテルの前で待機していたタクシーで空港まで行った。
流しのタクシーなら、事前に値段交渉をするが、ホテル前で待機しているタクシーは、メーターで行くのだと思い込んでいた。
空港に着いてみたら、メーターが動いていない。こともなげにひと言
「120元」
三人も乗っていたので、金額で困るわけではないが、大連のタクシー現況を見た思いがした、往復の乗車だった。

なぜ、こんなことになっているのか、わたしなりに考察してみた。
大連のタクシー料金は、2006年5月に少額値上げされたが、その後変わっていない。
しかし、2006年以降の大連の消費者物価指数は、急激に上昇しているのだ。
大連市物価局が公開している指数を元に、2006年からの物価指数をグラフに示したのが下の図だ。
dalianCPI.png
見て分かるとおり、総合物価指数は、2006年1月に対して2012年1月では123%に上昇しており、食品だけを見ると164%である。
これに対して、交通・通信費は、逆に92.7%に低下している。この低下は、通信費のインターネットや携帯電話の料金が低下したためで、タクシー代は変わっていない。
タクシー運転手がそれほど豊かな生活をしているはずもないので、エンゲル係数は高いことだろう。
2006年以降、工場労働者の最低賃金は、何回も見直されて上昇している。
このような状況で、タクシー運転手の賃金が据え置かれているのだから、生活が苦しくなった彼らがシャカリキに稼ごうとするのも理解できる。
中国人気質として、苦しい状況に甘んじているはずがないので、生活できないとなれば、とっとと廃業するか、雲助運転手になりきってひたすら稼ごうとするか、どちらかだ。
だから、タクシーが少なくなり、荒っぽい悪質な運転手が増えているのだと思う。

こんな状況を放置して、市民の足を不便にしているのは、行政の怠慢ではないか。
適正な値上げを認めてやって、運転手の生活を保障することによって、汎用交通の秩序を保つのが正しい姿なのではないかと思う。

コメント

有車階級急増

そうですか。国際線の出口にタクシー乗り場が無いのですか。
きっと大連市民の多くがマイカー族になり、国際線を利用する人たちは
みな車で送り迎えがあり、タクシーを使わなければならないのは社有車の
出迎えの無い客だけで商売にならないのでしょうね。
ホテルでもタクシーが待ってないのは不思議な現象ですね。
バスが相変わらず1元のままだし、軽軌も8元から4元に半額になってるから
タクシーに乗る人はますます減ってきたのでしょうか。日本も同じですが。
軽軌の駅に白タクならぬ白バイクもいないし、白タクそのものもいない。
夜のカラオケの前にもいませんね。どうしたのでしょう。
サンディ

  • 2012/02/29(水) 19:07:32 |
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  • サンディ #-
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本日も見ていただきましてありがとう。

サンディさん。
本日も見ていただいた上に、コメントまでいただきましてありがとうございます。
偶然ですが、文中の大先輩は、サンディさんも良くご存知の方ですよ。
今度お会いしたら、よろしくお伝えください。

  • 2012/02/29(水) 20:44:53 |
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  • でっつ #-
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良く御存じの方?

一体だれでしょうか?
小説家(志望)のでっつさんとしては
私がよく知ってる人だと言いながら、今度お会いしたら
よろしくお伝えください、では矛盾しませんか?
今度でっつさんがお会いになったらよろしくお伝えしましょう、
というのが筋では?ハハハ。
さて続きはどうなりますやら?
ベトナムの前に2-3本お願いするとしましょうか。

  • 2012/02/29(水) 22:01:34 |
  • URL |
  • サンディ #-
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意外な同一人物

サンディさん

ミステリ小説では、意外な人物が同一人物だったというオチが結構あります。
極端な例が、敵の親分だと思って攻めていたら自分の上司だったとか、殺人犯人と被害者が同一人物だったとか(この場合は、殺人に見せかけた自殺になります)、いろいろな謎が物語に深みをつけてくれます。
ま、そういう謎解きを楽しみましょうと言うことで、ちゃんちゃん。

  • 2012/03/01(木) 14:59:38 |
  • URL |
  • でっつ #-
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タクシー

値上げしても乗る人が減らなければめでたしめでたし、シャンシャンですが、軽軌・バスがそのままなのにタクシーだけ上がれば、バランスを欠く、利用者が減ってしまう、という判断があるのでは?と思います。まあ、バスも少しずつ値段改定していますし、タイミングみて値上げするのではないでしょうか。

検索して調べたところだと、大連の初乗り8元に対し、北京は10元、上海は14元(15元?)だそうですね。上海は物価が高いというのはあるのでしょうが、ずいぶんと違うものです。

  • 2012/03/03(土) 05:56:10 |
  • URL |
  • krzo #2m3d1wRI
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燃油サーチャージ

krzoさん、こんにちは。
確かに、バスは1元据え置きなのに、タクシー代だけが上がるのは、違和感があるでしょうね。でも、自主的値上げ活動によって、雲助同様の不明確な料金になっているのが実体ですから、公的に値上げ認めて、透明性を高めるほうが良いような気がします。
上海では、昨年7月のタクシー代値上げの際に、燃料代1元を上乗せしたそうですね。飛行機の燃油サーチャージと同じ考え方です。

  • 2012/03/03(土) 16:43:02 |
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  • でっつ #-
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大連出身で現在日本に住んでいる者です。おっしゃる通り、タクシー料金の低さがマナーの悪さに繋がってるのかもしれませんね。
大連空港は増設されましたので、タクシーは国内線のほうに集まっています。国際線の出口を出ると通常係員がいるので、無線で国内線のほうからタクシーを呼んでくれます。
中国ではタクシーのトラブルはよく起こります。私が西安で遭遇したのは、
1. 市内まで120元と言われ、黒タクシーに乗る  
2. 5分ほど走って通常のタクシーの側に停められ、「このタクシーに乗って、この運転手に120元払えば良い」と言われ、黒タクシーのドライバーは正規タクシードライバーから80元もらってトンズラ
3. 市内まで行き、120元払う

お分かりの通りの、ものの10分ほどで黒タクシーは80元の儲け。こちらの目的地は変わらないが、妙にムカつく気分にさせられます。あまりにも気分悪かったので、何かあった場合はと思い、顔写真撮ってやりました。
大連の今後はどうなるかわかりませんが、現在の市長が良いほうに導いてくれることを願います。
長文長々と失礼しました。

  • 2012/07/18(水) 12:39:02 |
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  • マーシャル #-
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110元は払い過ぎ

これは払い過ぎですよ。値上げしてあげればといっても、正規料金で行ってくれるタクシーもいる中で空港-開発区100元なんて中国語が出来ても、文化を理解しなさすぎで、払い過ぎだと思います。そういうタクシーに屈すると他のタクシー利用者の相場も上がってしまい、結構迷惑になってしまいます。大連空港のふっかけてくる輩が多いので、出発ロビーに開発区からくるタクシーを狙ってこっそり乗ります(本当はNG)。公安やほかのタクシーの目がある場合には、ちょっと先の駐車場エリアから乗り込みます。3年前は30元、最近は50元で開発区まで行ってもらえます。そんな小銭を値切っても仕方ないのですが、日本人がなめられないためにも大事だと思いますが。

  • 2012/11/20(火) 22:06:40 |
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  • TT #-
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